活動報告
台風18号による集中豪雨への被災地支援について
これまで私たちは、自然災害による被災地支援について、募金活動などを通じた被災地支援を行ってきましたが、被災地や被災者と支援者・支援団体を結び付ける活動も必要と考えており、また、刻々と変化する被災から生活再建への道筋を意識しながら支援することも大切と考え、茨城県常総市へとスタッフを派遣しました。
被災地での復興の妨げになってはならないことから、最小限の人数と行程としましたが、高齢者福祉や外国人支援について、考えていかなくてはならない事柄がたくさん見えてまいりました。
ひとりの目によるものですので、事実と異なる部分も多々あろうかと思いますが、ご参考までお読みいただければと思います。
こちらをクリックしてお読みください↓
「多文化共生から始まる地域創生inとやま」開催のご報告
8月7日(金)に、サンシップとやまにて、「多文化共生から始まる地域創生inとやま」を開催しました。
このフォーラムの主催者は、NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会であり、ダイバーシティとやまは、地域コーディネート団体として、北陸での開催をコーディネートしました。
このフォーラムは、総務省が「地域における多文化共生推進プラン」を策定してから今年度で10年が経つことになるため、これまでの地域における多文化共生をふりかえり、これからの10年の多文化共生を展望しようとするものです。全国14ヶ所で開催される予定となっており、北陸ブロックでは、当地富山での開催となりました。
チラシを見ていただければ、おわかりになると思いますが、このフォーラムの開催にあたっては、とても多くのみなさまにご協力いただき、支えられながらの開催となりました。北陸地域で、多文化共生に携わる自治体職員のみなさま、国際交流協会のみなさま、さまざまな分野においてご活躍のみなさまが、このように一堂に介することができて、本当に嬉しく思いました。
そして、開催結果について、詳しくご報告すべきところですが、今回は趣向を変えまして、主催者側の内部の視点から見たフォーラムについて、ご報告させていただきます。
フォーラムの企画や留意点など、主催者ならではの視点で記載してありますので、今後、こうした事業を企画される方にとっては、面白い開催報告ではないかと思います。
ただ、文面がやや固いので、関心のある方だけ添付のファイルをお読みになることをオススメいたしますよ。
フォーラム開催後は、時間の許す方のみでの懇親会となりましたが、笑いあり、三線の演奏あり、おわらの演舞ありの楽しいひとときとなりました。こうした時間もゆっくりと持ちたいものですね。
ご協力いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。
多文化共生から始める地域共生inとやま開催報告byNPOタブマネ
ダイバーシティ・トレーニング第1回 開催のご報告
8月22日(土)に、射水市太閤山コミュニティセンターで、ダイバーシティ・トレーニングの第1回として、「ちがいに気づく」を開催しました。
まずは、前回のダイバーシティ・トレーニング理論編のふりかえりからのスタートです。
前回は、時間が足りずに話すことができなかった文化の意味についての話がありました。
関心のある方は、画像をクリックしてお読みください。
例えば、国際交流の現場において、目に見える表面的なことや、知覚し、意識し得る部分だけをもって理解しようとする態度では、衝突は避けられません。当事者同士が知覚していない部分に目を向け、そうした部分があることを意識しない限り、真に理解し合うことは困難です。表面的なちがいや、分かり合える部分だけの文化的差異を見て、相手のことを理解したつもりになっていても、いざ何かトラブルが発生したときに、表面的な理解を放棄するばかりではなく、「あの人は外国人だから」と、深層的なちがいの存在からも目をそむけてしまう人が少なからずいるのが現状です。こうした態度では、いつまでたっても多文化共生は進みませんよね。こうした部分の気付きの端緒になる最初の話でした。
そして、本日のワークショップ「ちがいに気付く」です。
まずは自分の短所を2~3個出すところからスタート。
皆さんからは、いろいろな短所についての意見が出ました。
その後、それを短所ではなく長所に変換していきます。
例えば、「頼まれごとを断れない」なら、「思いやりがある」に、「後先考えずに行動する」なら、「実行力がある」など。
短所と聞くと、それをなくそうとするけれど、短所と長所は表裏一体。
短所をなくすことが、長所を失うことになってしまいます。なくすのではなく、それを長所に変えて活かしていくこと。
その発想の転換が大切だということに気付くワークでした。
すると、参加者のお1人から、「昔からできないことを無理やりやらされそうになると、ますますできなくなったけど、できることを伸ばそうとすると、自然とできないこともできるようになってきた。先生は枠にはめたがる人が多いけれど、凸凹をなくそうとするのではなく、凸をのばす教育が大切だと思う」というご意見があり、参加者一同深く頷く場面もありました。
次のワークでは、男らしさ、女らしさで思いつく言葉をたくさん挙げてもらい、知らず知らず、枠の外にはみ出してはいけないという意識で生きてきた「男」としての、「女」のしての自分がいなかったかという点を考えました。
ここでは、「植えつけられた価値観で物事を見ていた自分がいたと思う。もっと寛容になりたい」というご意見が出てきました。
今回はまだまだワークが続きます。
続いて、発達障がいについて考えるワークでした。
発達障がいは目に見えにくい障がいです。それゆえ余計に生きづらさを感じる人たちが多いのも事実。
そんな発達障がいの人が近くにいた場合、自分はどうしたらいいだろう、そんなことを考えるワークとなりました。
ここでは、おせっかいにならずに、でも理解する、本人ではなく、周囲の理解が変わることの大切さについての声が出てきました。
そして最後にもう一つ、障がいを選ぶというワーク。
自分に障がいがあったら、を考え、なぜそれを選んだか、または選ばなかったかを話し合いました。
そこで出てきたのが50年前だったら、きっともっと障がいがある人は生きづらかったであろうという意見。
社会に認められた障がいであれば、障がいを感じずに生きられるようになっているものもある。それは50年前とは全然ちがっていて、きっと50年後はもっとそうなるだろう。そのために私たち一人一人ができることは、やはり身近でダイバーシティを進めていくことじゃないか。そんなことを話し合い、とても内容の濃い3時間のダイバーシティ・トレーニングを終えました。
アンケートでは、「世界観が広がった。想像力を持って人と接したい」、「他人やちがいを受け入れるだけでなく、自分が普段どう意識して行動しているか考えるいい機会になった」、「仕事に見方を生かしてみようと思った」等のご意見をいただきました。
ダイバーシティ・トレーニングはこの後もまだまだ続きますが、今回の内容だけでも、もっとたくさんの方に体験してほしい。そんなワークショップになっていますよ。
これからもダイバーシティ・トレーニング、いろいろ企画していきますので、またぜひご参加ください。
なお、今年度のダイバーシティ・トレーニングのスケジュールは
第0回 ダイバーシティ理論(終了)
第1回 ちがいに気付く(終了)
第2回 多文化リテラシー
第3回 ダイバーシティ・リーダーシップ
第4回 ダイバーシティ・マネージメント
第5回 アサーティブなコミュニケーション
第6回 2つの文化を考える
第7回 対立の解消
特別セミナー LGBT(予定)
2015年度 定期総会&ダイバーシティ・トレーニング開催のご報告
6月21日に、射水市太閤山コミュニティセンターで、2015年度の定期総会及びワークショップを開催しました。
定期総会では2014年度の事業報告と2015年度の事業計画についてお諮りしました。
ご承認をいただいた2014年度の事業報告と2015年度の事業計画はこちらになります。
http://diversity-toyama.org/?p=1552
1年を通じた活動内容を閲覧できますので、ぜひご覧ください。
総会に続き、今年度の目玉事業ともなるワークショップ「ダイバーシティ・トレーニング 〜理論編〜」を開催しました。
ハワードさんのファシリテートにより、ダイバーシティの歴史、差別、平等、エンパワメント、人権などに関するレクチャーとグループワークをしながらの学びです。レクチャーではたくさんの参考資料の中から、ハワードさんが噛み砕いて話してくださり、改めてダイバーシティの奥深さを実感。
その後、“平等”についてグループごとに話し合いました。
普段、なんとなく分かっていたつもりでしたが、その奥深さや難しさを再認識させられました。
そして、グループワークの最後に、会社の管理職になったつもりで、多様性を実現するためのビジョンを作成し、具体的行動を検討しました。
いろいろなアイデアが出て、ダイバーシティの可能性を感じさせられましたが、多様性を実現して、かつ、競争にも勝つという点で苦労されているグループもありました。
ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。
次回のダイバーシティ・トレーニングは、8月22日に開催します。
テーマは「ちがいに気付く」です。お楽しみに。
こちらもぜひご参加くださいね。
ダイバーシティ・カフェvol.11 開催のご報告
7月24日(金)に、射水市太閤山コミュニティセンターで、第11回のダイバーシティ・カフェを開催しました。
今回の語り部は、富山でAIDSの啓発活動を始めたの現職地方公務員の獣医師であり、ギターの弾き語りの名手でもある堀元栄詞さん。
堀元さんのこれまでの歩みは、こちらのブログもご覧ください。
「ダイバーシティとやま」な日々 堀元栄詞さん
http://blog.canpan.info/diversityt/archive/129
いきなりですが、堀元さんが保健衛生のお仕事の中、子どもたち向けに作った「手洗いの歌」からスタート。
これが覚えやすくて、歌いながら手洗いすると、ちょうどいいカンジ♪ちょっとした工夫で子どもたちが楽しく手洗いできます。
手洗いの歌で盛り上がった後、堀元さんの語りが始まりました。
堀元さんがL-KAT~ Let’s know AIDS in TOYAMA~を立ち上げたのは2011年の10月。
この年は、イギリスのロックバンド、Queenのボーカリストのフレディ・マーキュリーがAIDSで亡くなって、20年が経つことになる年です。
富山でも何かしたい。そう考えた堀元さんは、フォルツァ総曲輪でQueenのフィルムコンサートを開いてAIDSの啓発活動をしました。
2日間で80名の方が参加してくださり、これが実質L-KATのスタートとなりました。
AIDSの啓発運動の象徴はレッドリボンです。ですが、最近はピンクリボンを知っていても、レッドリボンを知らない人が増えているように感じる。
これをなんとかしなきゃ。そんな思いをとても強くする堀元さんなのでした。
現在、日本のHIVの感染者は、1日4人ずつ増えています。累計では25,000人とのことです。
AIDSは、社会的に大きく取りざたされた30年ほど前とは異なり、今は、不治の病ではないといわれています。しかしながら、現在進行形で感染者が増えていることに対して、強い危機感を持っている人がどんどん減っていることがとても問題だということです。
堀元さんは、感染症に携わって15年になりますが、その中で衝撃的な出来事に遭遇することになります。それは、生肉のユッケを食べたことにより、死亡者が出たことです。
堀元さんは、職場から出している週報により、生肉の怖さについて十分に情報発信していたと思っていました。しかし、街の声として紹介されている「生肉がこんなに怖いものだとは知らなかった」とのコメントに、愕然とします。自分は伝えてきたつもりだけど、全然伝わっていなかった。外に出よう、出て伝えよう。それが堀元さんの現在の活動を支えている思いでもあります。
ボールペンやティッシュを配るだけの啓発活動ではダメだ。ちゃんと伝わるように伝えなきゃ。
そんな思いで、堀元さんは啓発活動の日は、来てくれたお客さんが足をとめてくれるように様々な工夫をしているとのことです。
昨年の世界AIDSデーの啓発活動は、高岡イオンで開催し、1日で360人の方が足をとめてくれました。それも堀元さんたちの工夫があってこそのことでした。
そして、堀元さんは大学時代のつらい経験も語ってくださいました。
堀元さんは獣医学部で勉強し、馬術部に所属していました。馬に乗って、馬にハマりました。
朝から晩まで馬づけの毎日。
最初は同じ顔に見えた馬も、毎日接していると、全然ちがった表情をしていることがわかるようになってきたということです。
馬も一頭一頭、それぞれに、性格も全然異なるということです。
堀元さんは厩舎に泊まり込んで、馬の世話をするほどのめりこみ、馬を育てあげる喜びを知りました。
そして、堀元さんが大学2年生の時に、ローレルゴールドという馬がやってきました。
先輩曰く、「こいつは使い物にならんから、出せ」と言いましたが、堀元さんは心を込めてその子を育てました。その結果、とても素晴らしい馬に成長しました。馬術大会でも活躍が期待されるほどに成長しました。
獣医学部5年生の時のことです。
馬はもちろんお金がとてもかかるので、馬術部では馬たちも(!)アルバイトをしていました。
そのお仕事とは、投薬の臨床実験の実験台になることです。堀元さんが丹精込めて育ててきたローレルゴールドも、臨床実験のアルバイトをしました。
そして、その薬は、馬に対して大きく影響の出るクスリのようでした。
大きくて逞しかったローレルゴールドは、カルシウムが体からどんどん抜けていき、見る見るうちに、やせ細った馬になってしまったのです。
こうなってしまうと、あとのみちは屠殺しか残されていないと。大切に育ててきて、これから活躍できるという矢先に。
堀元さんは、その子を自分の手で病理解剖したそうです。みんな泣いていましたが、堀元さんだけは泣けなかったとのこと。
あんなに愛してやまなかった馬を自分の手で殺した!人は、あまりに悲しい時は泣けないのだとこの時知ることになります。
この時の体験も今、堀元さんを急き立てている理由のひとつです。
あの時、ああしておけばよかった。こうしておけばよかった。そんな後悔をするのはもうこりごりだ。
HIVは防げるのに、年間1500人も増え続けている。これをなんとか予防につなげなくては。
堀元さんはこう言います。AIDSでいちばんの問題は無関心だと。いかに多くの人に、この問題について関心を持ってもらい、いかに予防につなげるか。そのために堀元さんは今日も語っています。
こうしたお話の後、参加者からいくつかの質問がありました。
HIVでも子どもは産めるのか?
答えはYES。今はクスリで血中のウイルス量を、限りなくゼロに近づけることができるそうです。
そうなると、自然分娩だって可能だということです。
もちろん、空気感染なんてしないし、同じ鍋をつついたり、回し飲みしたり、キスしたり、そんなことくらいでは感染しないのに、いまだに多くの偏見が持たれています。正しい知識を持つことはもちろんですが、関心を持たないことが原因になっている悲劇もたくさんあると思います。
かつては撲滅が不可能だと思われていた天然痘も撲滅できたように、AIDSもいつの日か、この世から消えてなくなると、堀元さんは信じています。そのために必要なのは、なによりも知識。AIDSにいちばん必要なのは知識のワクチンなのです。
そして、今回のダイバーシティ・カフェの最後は、堀元さんがギターとハーモニカで、ハートフルな「ヨイトマケの唄」を熱唱してくださいました。
一緒に住んでいるお母さんに、面と向かってありがとうと言えないけど、この歌でなんとなく伝わっているかな?と堀元さん。
とっても真摯に目の前の課題に向き合う堀元さん。今回も、参加者のみなさんとともに、素敵な時間を共有できたダイバーシティ・カフェになりました。
2014年度事業報告及び2015年度事業計画について
本日、2015年度定期総会において承認されました2014年度事業報告と2015年度計画について、掲載いたします。
富山県高等学校国際教育研究会総会&ガールスカウト富山県連盟総会での講演のご報告
5月13日(水)には富山県高等学校国際教育研究会の総会で、また、5月17日(日)には一般社団法人ガールスカウト富山県連盟の総会で、それぞれ講演させていただきました。
「子どもたちの未来を拓くダイバーシティ」という演題で、高校の先生方向けには多文化共生の視点からのダイバーシティを、ガールスカウトでは女性が輝ける社会になるためのダイバーシティを中心に、それぞれお話しをさせていただきました。
後日、感想も寄せていただき、本当に嬉しく思いました。(画像は高等学校国際理解教育研究会総会での講演の感想です。)
クリックするとお読みいただけますよ。ご参考までに。
ダイバーシティ・カフェvo.10 開催のご報告
4月17日(金)に、射水市太閤山コミュニティセンターで、第10回のダイバーシティ・カフェを開催しました。
今回の語り部は、多機能型事業所花椿かがやき支援職員の長岡由洋さん。
長岡さんのこれまでの歩みは、こちらのブログもご覧ください。
「ダイバーシティとやま」な日々 長岡由洋さん
http://blog.canpan.info/diversityt/archive/154
今回は、長岡ワールドが炸裂したダイバーシティ・カフェになりました。
まず、1限目のダイバーシティ・クラブ活動「極真空手クラブ」が始まりました。
長岡さんは空手を始めてから、人の思いやりに気付いたそうです。
それを実体験するために、参加者みなさんでの空手体験が始まりました。
最初は正拳突きの動作の練習から。みんなでイチ、ニ、イチ、ニと声を掛けて動作を合わせます。
その後は長岡さんが構えるミットに対して突き。最後はミットも何もない状態の長岡さんに対して叩いたり突いたり、「好きにしてもいいよ」と言われ、参加者の皆さんは躊躇します。
相手が強いことを知り、相手を信頼している場合は思い切りいけるけど、そうでない場合はやはり怖い。信頼しているからこそ思い切りいけるのだ。そして、こういうときに、人は人のことを思うのだということを確認する時間になりました。
普段の生活ではなかなかできない体験に、参加者の皆さんも空手の奥の深さの一端に触れた感覚でした。
そして、2限目のダイバーシティ・クラブ活動は「ハンドベルクラブ」。
ハンドベルの体験が初めての方もいる中で、ハンドベルで「ハッピーバースデー」を演奏します。
ハンドベルは自分勝手に奏でていると絶対に曲にはなりません。周りのみんなの動きをちゃんと見て感じることが大切。
参加者の中には耳の不自由な方もいらしたのですが、なんとその方が一番合わせるのがお上手でした。
普段から、周囲の様子にどれだけ注意を払っていらっしゃるかがわかり、みなさんも感心しきり。
最初はなかなかメロディにならなかったハンドベルですが、最後は息の合ったハッピーバースデーの曲が完成!
そして、たまたまこの日、ホントに誕生日だった内生蔵さんにハンドベルのHappy Birthday To You!がプレゼントされました。
2つの体験型の活動が終わって、3限目は長岡さんのお話でした。
高校時代に恩師の野球部の横越先生に出会えたこと。レギュラーにはなれなかったものの、声が大きい長岡さんを活かすために3塁コーチャーにしてくれたのも横越先生でした。先生のおかげで人を認め、認めてもらえることの大切さを身をもって実感した長岡さん。
そして、長岡さんが商社で働いていらっしゃった時のお話や、老人ホームで働いたときのお話、そして花椿かがやきとの出会いと話が続きました。詳しくはぜひブログでお読みください。
長岡さんは花椿かがやきの支援職員ではありますが、花椿かがやきの利用者のみなさんからいつも教えてもらってばかりだとおっしゃいます。
彼らは何に対しても真剣勝負で手抜きなし。一人ひとりが本当に素晴らしいんだと思えるのだと。
だからこそ、長岡さんの夢は『Be Happy!みんなで一緒に幸せになろうよ!』
これは先日の世界自閉症啓発デーのときに長岡さんが言ってくださった夢だったのですが、今回もその言葉で締めてくださいました。
身体を動かすワーク、そして長岡さんのお話で、心も身体もあったかな、素敵なダイバーシティ・カフェになりました。
世界自閉症啓発デーLight It Up Blue「ちょっとフシギ、とってもステキ 自閉症・発達障がい」開催のご報告
今年で4年目を迎える五箇山菅沼集落での世界自閉症啓発デー。4年連続の晴天開催です。
NGOダイバーシティとやまの年度初めの事業としても定着してまいりました。
今回もたくさんのみなさんに支えられての開催の運びとなりました。
まだ雪の残る中、青くライトアップされた合掌造りの中でのトークセッション。今回は「ちょっとフシギ、とってもステキ 自閉症・発達障がい」と題して、二人の語り部と一人のスペシャルゲストを迎えての開催となりました。
語り部は、社会福祉法人めひの野園うさか寮施設長の東真盛さん、富山大学人間発達科学部准教授の水内豊和さん。そしてスペシャルゲストはナント!南砺のナント市長の田中幹夫さんです。
このイベントの開催のチラシには「4月2日は、青のTシャツや帽子、小物を身につけて自閉症を応援しよう!」と書いてあるのですが、田中市長はネクタイも靴下も青というイデタチです。さすがです。
今回のトークセッションの開催前からの盛り上がりについては、協力団体のとやまcocolo会さんのfacebookに、こんな風に掲載されています。
【雪の下赤かぶ掘り&水内ゼミワークショップ】
1メートル以上積もった雪の下にある赤かぶを宝探しの様に掘り当てたときの笑顔。水内ゼミワークショップでの、言葉を使わないゲームでのコミュニケーション。美味しい夕食を食べながら交わした会話。常に花椿かがやきの利用者さんたちが、ムードメーカーとなって和ませてくださいました。cocolo会の方にも喜んでいただけたようです。また来年もやりましょう!自閉症についての理解が広まりますように。
セッションの会場前に参加者が集まっている様子はこちらの北日本新聞の記事のとおりです。会場はいつもの食べ処吾郎平さんですが、記事にもあるとおり、60名近くのみなさんにご参加いただき、満員御礼状態です。
まずは、宮田代表からのあいさつに続き、田中市長から祝辞をいただきました。田中市長からは、祝辞のみならず、セッションでもたっぷりとお話しいただくことになりました。
さて、はじめの語り部は、水内豊和さんです。
水内さんは、大学で教鞭を取る一方、富山県自閉症協会の会長でもあり、公私ともに自閉症に取り組み、学問と生活を結び付けて私たちに語りかけてくださる人情味あふれる語り部です。
「今日はみなさんにもこのセッションに参加してほしいなと思っています」というメッセージから始まった水内さんの語り。
もう何年も続く水内さんと自閉症の方との年賀状の交換のお話です。「今年は中学2年生になりました」、数年後には「今年から仕事をしています」などなど、1年ごとの短い近況報告のやりとりです。一見、他愛のない心温まる年賀状でのやりとりに見えますが、自閉症の方の特徴もあるそうです。
例えば、水内さんが自閉症の方に「お元気ですか?」と書くと、その年賀状が届いた後すぐに電話がかかってきて、「はい、元気ですよ!」という答え。ちょっと変わってるなと思うかもしれませんが、水内さんの年賀状を、とっても素直に受け取ってくれているということがよくわかりますねとのこと。本当にそうです。自閉症の人は従業員として使いにくいという意見もありますが、水内さんが見せてくださった年賀状からは、仕事に対する熱意がとてもストレートに伝わってくる。そんなエピソードから、偏見に囚われず、そのままの姿を見てほしいと語られます。
また、自閉症に対してよく言われることとして、「コミュニケーションが取りにくい、社交性に欠ける」ということがありますが、さにあらず。決してそんなことはない。困り感がことさら高いわけではないということです。
表現豊かな例として、例えば、おぎのひとしさんのfacebookに掲載されている「きょうのあっくん」番外編の「虹色少年」の漫画を見せてくださいました。おぎのさんはプロの漫画家ですので、とてもステキな漫画を描かれているのですが、今日4月2日のタイミングで自閉症の漫画をfacebookに掲載されたとのことです。
「虹色少年」
http://www.ogino-hitoshi.com/spectrum/comicex.html#top
何よりも大切なのは、自閉症の特徴をよく知ることが大切だと語られます。水内さんが大学のゼミで学生とともに作っているのが自閉症の特徴を五七五で表現したカルタです。とても簡単な言葉でその特徴が表現されています。例えば、「『おなまえは?』かえすことばは『おなまえは?』」などなど。
時刻表を毎月2冊買う人もいます。1つは閲覧用、1つは保存用なのです。たくさん使い込み、正確に記憶していく一方で、大切にそれを持っておきたいという気持ち。カーナビのように道案内をしてくれる人。たくさんのトランプを持ちにくかったり、相手の視界を想像しにくいという理由からババ抜きが苦手な人が一方で、カードゲームの神経衰弱では格段の記憶力を発揮する。
人は誰しもネガティブな面、ポジティブな面がある。自閉症や発達障害だって同じ。これらの両面を見て、ポジティブな面を活かしていくことが大切なのです。
さて、水内ゼミで作っているカルタ。今日の日に取っておいたわけではないそうですが、「ご」「か」「や」「ま」から始まるカードはまだないそうです。みなさま、水内さんにメールで「ご・か・や・ま」のカルタを送ってくださると、採用されるかも?とのことですよ。
カルタで遊びながら自閉症の特徴を学ぶことができる。いい面を伸ばしていくことができる。まず、特徴を知ることが大切ですね。
次の語り部は、東真盛さんです。
東さんが日頃から思っていることは、まずは自閉症の困難さが理解されること、そして支援できる人が増えることです。そんな風に社会が変わっていくと、愛情あふれる素敵な社会になるのでは?という思いを持っています。
とはいうものの、自閉症の一人ひとり、みんな特徴が異なっています。虹のスペクトラムのように症状がさまざまなのです。例えば、「自閉症=レインマン」というイメージが強いかもしれませんが、本当にさまざまな特徴を持っているものなのです。
こんな自閉症の人たちって、めずらしい人なのでしょうか?そうではありません。文部科学省の調査では、発達障害のある児童生徒数は6.5%とのことです。つまり、とても身近にいる人たちといえるのです。
また、病気や障害は「治す」ものだという漠然としたイメージを持っている人が多いのですが、自閉症や発達障害は「治す」のではなく「つきあう」障害ということです。そうしたとき、周りにいる人を含めて、環境を整えていくことが大切になってきます。
自閉症の彼らの行動には必ず理由があるのです。外から理解するのはなかなか難しいかもしれませんが。情報処理の仕方が違う。違う感覚や違う脳の使い方をしている。異常とは思わないでほしい。東さんはそう語ります。多数派のルールに乗っかりにくいのだと。そして、自由な情報処理の仕方を持っている彼らを小さな枠にあてはめようとし過ぎている。普通の枠に押し込めようとしていると。
一体、普通って何なんでしょうか?普通ということが、そんなに素晴らしく大切なことなんでしょうか。ここで東さんは問いかけます。普通であることに最善の価値を持っているとするならば、その褒め言葉というのはこうなりますよね、と。
「あなたは実に普通だね」
これって、褒め言葉でしょうか?褒め言葉というのは、「人並み外れているね」、「個性的だね」、そういうことでしょう。つまり、ちがっている感覚がステキということです。まさに「とってもステキな自閉症・発達障害」というわけです。
ここで、東さんは自閉症の作家の絵画の作品を見せてくださいます。とても素晴らしい作品なのですが、こうした作品を描くようになるに至るまでに、仮に普通の絵を描かせようとしていたら、これほどまでに個性的な絵を描けなかっただろうと語られます。
普通の枠に押し込め、普通であろうと強要しようとすると不幸な結果になってしまうのです。
東さん自身の経験も語っていただきました。東さんの体調不良に起因することなのですが、そのことが原因で、周囲に「わかってもらえない」「伝わらない」の積み重ねが生まれ、これの繰り返しが人や場に対する嫌悪感、不信感が生まれたとのことです。具体的には東さんに直接、お聞きになってくださるといいのですが、この話を聞いた会場の参加者は、まったくそのとおりという気持ちになりました。
相手の気持ちを想像する。私たちが彼らに寄り添おうとする。そして、相手の背景を知ることで、相手の気持ちを想像することができる。
その人の不機嫌な理由を考えてあげよう。愛の反対は無関心なのです。私たちは、あまりにも他人に無関心過ぎやしないか。
確かに、悲しみや苦しみを共感するのは難しいことです。あるとき東さんに対して投げかけられた言葉が今も東さんの胸に突き刺さっています。
「あなたは自分の子供を殺したいと思う親の気持ちがわかりますか?」
他人を理解していくためには、それぞれの立ち位置が異なることを考える必要があります。立ち位置が変わると正論が変わってしまうのです。
例えば、多動のお子さんを持ち、ちょっと目を離すだけど車に轢かれてしまいそうになるなど、神経をすり減らしている親が、あるとき子供の背中にリュックサック状の紐を付け、自分と距離が離れないような道具を目にします。これなら安心と自分の子供にそれを付けて、買い物に出かけていると、こんな言葉が投げかけられました。「犬や猫じゃあるまいし」と。
本当に衝動的に動き回る子供で、24時間目が離せないような生活を送っているのです。例えば、トイレもドアを開けて行っているような生活を送っているのです。苦肉の策で紐をつけてみた。そんな親に対して、事情や背景も知らずに「犬や猫じゃあるまいし」というのはどうでしょうか?しかし、話はここでは終わりません。その親は、東さんにこう告げたそうです。「世の中には優しい人もいるんだな」と思ったと。自分は疲労困憊していて、子供を紐でつなぐということが、「犬や猫と同じ扱いをしている」というものの見方ができなかったと。
みなさん、いかがでしょうか?
環境側が、わかりやすく情報を伝えることも大切です。そんな環境は、自閉症や発達障害の人だけでなく、みんながわかりやすく暮らしやすい環境であるでしょう。
例えば、新しい富山駅は、言葉がなくてもわかりやすい駅になっています。言葉だけではなく、いろいろなサインがあり、やさしい支援が行き届いています。
では、ハードが整えばそれでOKかというと、もちろんそれだけでは十分ではありません。自閉症・発達障害の特徴がさまざまですで、一人ひとりを理解しようとしていくことが大切なのです。
外からはわかりにくい障害。見るだけでは理解できない。しかし、人は障害者を理解しようとする姿勢を持てるはずだし、もし、そういった気持ちを持てないのであれば、もしかしたら、いわゆる健常者のほうが障害者ではないか?障害者の苦しみがわからないのは、それこそ障害なのではないか。そんな身につまされる語りが続きます。
お互いを尊重する心。理解しようとする姿勢、気持ちを共有すること。
子供が遊んでいる声がうるさいといったような話は枚挙にいとまがありません。人と人が心地よく生きていくためには寛容性が必要です。
障害は決して他人ごとではありません。必ず数%は生きにくさを持った人がいるし、家族が障害を持つこともあるし、自分がそうなっていくことも十分にある。他人事ではなく、自分たちが生きていく世界の中で、障害というものは、当たり前のことだと考えてくことが大切ではないかと語りが締めくくられました。
そして、スペシャルゲストの田中市長からは、先のお二人の語り部からインスパイアされたことを次々を語っていただきました。
現在、南砺市では、認知症サポーターを増やそうという取り組みをしているとのことです。一人ひとりが人生の最期をどういう形で閉じるのかを考えてみる。それを市民に聞いてみると、ほとんど100%近くの人が自宅で最期を迎えたいと考えていることがわかった。こういうことから、地域の中で最期を迎えることができる福祉を目指している。これが一番大切なまちづくりではないかと思っているとのことです。
このことには、障害者はもちろん、認知症も含めて、いろんな人がいるということを共有することが大切になってきます。いろんな人がいるということが頭でわかっても、いざ、接しようと思うと、戸惑うことも多い。このために、なんとなく接し方がわかる講習が必要ではないか。認知症サポーターもその取り組みのひとつになる。ただ、こうしたことは、全国レベルでの広い範囲で開催される講習会があればいいと思っているということです。こうした講習会があれば、ちょっとした付き合い方がわかる。ちょっとした気づきが生まれるだけでも大きな変化になるはずだろうと語られます。
時代は、以前はバリアフリー、そしてユニバーサルデザイン、今は「ハードからハート」へと移り変わってきているのです。
そして田中市長のごく個人的な経験からの想いも熱く語られました。田中市長は利賀村生まれ。ご自宅の近所には、障害を持つ子供がいたとのことです。その子供が毎日、元気よく「おはよう!」と声をかけてくれる。この挨拶だけで、いったい何人の人が助けられたのか。
人間には「上」や「下」はないのだと強く語られます。みんな同じ。いわば球体の中に存在しているという喩えです。球体の中で生きていると、ときどき上になったり下になったりすることもある。それでも全員が同じ球体に中にいて、一人として必要のない人はいないのだと。つまり、世の中、全員が必要。
田中市政のまちづくりのひとつのキーワードもご紹介いただきました。「いいところはもっと伸ばしましょう!課題はチャンスだと思いましょう」ということです。まさに今回のトークセッションのテーマそのものです。
その人がいるから私たちが元気になり、私たちがいるからその人が元気になるという人と人とのつながりを大切に考えていきたいという想い。世の中には資本がたくさんあるはずです。
世の中はマネー資本主義になっているかもしれない。しかし、人と人とのつながりが大切と考えれば、人材資本、自然資本、文化資本など、さまざまな資本がたくさんあることに気付くはずです。
もっともっと市民満足度や幸福度を高めていきたい、南砺の価値が高めていきたいと語る田中市長の目線は未来だけでなく、古き良き時代へも及んでいます。
最後に、こう語られます。私たちの豊かな未来は昔にヒントがあるのだと。量から質へとギアチェンジしていこう。
これからどんどん新たな多数派を増やしていくことが大切になっていく。まちづくりの合意形成にあたって新しい多数派、すなわち今日のテーマでもある自閉症や発達障害に人たちへの理解がある人を増やしていくことが必要なのだということで、今回の三方の語りが締められました。
左から水内さん、田中市長、東さん、進行の柴垣 お隣の囲炉裏の部屋でも何人もの方が耳を傾けて
さて、このあとは参加者のみなさんとのトークセッションとなり、実にさまざまなところに話が展開していくライブ感たっぷりの時間となったわけですが、こちらは参加者だけの特典的お楽しみということで、ここでのご披露はご容赦くださいませ。
最後には、世界中でライトアップされている映像と、この企画にご協力いただいたみなさんの想いを込めた動画を見ていただきました。
動画はこちら⇒https://www.youtube.com/watch?v=nkKbobIESHo&feature=youtu.be
一人ひとりの想いは、もしかしたら小さな灯かと思っているかもしれませんが、こうして集まることで、ライトアップしていく大きな光になっていくのだということを確信したセッションになりました。
ご協力くださいましたみなさま、ご参加のみなさま、本当にありがとうございました。
ダイバーシティ・カフェvo.9 開催のご報告
3月20日(金)に、射水市太閤山コミュニティセンターで、第9回ダイバーシティ・カフェを開催しました。
今回の語り部は、株式会社フロー代表取締社長の池田将人さん。
地域資源・メイドインジャパンをWEBを通じて日本・世界へ販売し、医療支援へと繋げる「流れ・FLOW」を創り、日本を世界へと発信する 。そういう意図から会社の名前をフローとした池田さん。
池田さんのこれまでの歩みは、こちらのブログ記事もご覧ください。
ダイバーシティとやまな日々 池田将人さん
http://blog.canpan.info/diversityt/archive/36
池田さんは小学校2年の時、煮えたぎっている風呂釜の中に落ちて大火傷を負います。
幸い一命は取り止めたものの、4ヶ月の入院中に受けた手術の際に、C型肝炎に感染してしまうのです。その後、肝炎ウイルスキャリアのまま、大人になるまで過ごすことになりました。
大人になって、歯科技工士の仕事に就き、その仕事が乗ってきた時期に、C型肝炎の特効薬としてインターフェロンが保険適用されることになり、治療に専念することを決意。治療のために仕事を止めました。
副作用もひどく、もともと社交的な性格だったのに誰とも会いたくなかった治療期間。孤独でした。死んでしまった方が楽だとさえ思ったこともありました。
しかし、その時期、池田さんはたくさんの本と出合い、たくさんの本を読みました。今までは、まったく読書とは無縁の生活を送ってきたのですが、乾いた土に水が染み込むように本の世界に没入したのです。
そのとき、胸に直球で響いたのが「修身」でした。
そして、渋沢栄一の言葉にも多くの影響を受けました。
渋沢栄一は日本資本主義の父と言われている人で、かのピーター・ドラッカーが氏を尊敬していたというほどの人物とのことです。
その渋沢栄一が説いたのが「論語と算盤」。つまり、「論語=倫理」と「算盤=利益」の両立を掲げた氏の考えに、池田さんは感銘を受けたのです。
「自分は自分と同じように苦しむ人のために医療支援をしたいと思う。」
「しかしそれは、まったくのボランティアでは成り立たない話。」
「いかに論語と算盤を充実させていくか。そこを考えよう。」
そうして池田さんは、治療期間に経営の勉強にも多くの時間を費やしたのです。
また、この時期によく考えたのが宇宙のことでした。
ここで池田さんの口から飛び出したのが量子力学の話。
深い人生哲学の話に共感していた私に、突如として降りかかる物理学の話。「物理」と聞いただけで卒倒しそうな私ですが、池田さんのお話はとても興味深く、内容の濃いものでした。
古典力学では、物質に位置と運動量を与えれば、その運動が決定されます。手に持ったリンゴ(手の位置にあるリンゴ)を、上空に向かって投げる(運動量を与える)と、放物線を描いて地面に落ちる(運動が決定される)という世界です。
しかし、ニュートン以後、時代が進み、原子や分子、素粒子などの物質は、位置と運動量を同時に測定することができないことがわかってきたのです。
私たちに馴染みのある世界では、今、ここにあるリンゴが測定できないということは、うまく理解できないのですが、こうした原子や電子、素粒子の性質に「量子」という考えを導入すると、古典力学で解決できないことが、どんどん解決されるのです。
すなわち、物質は、波という性質と、粒という性質を持っているという概念です。そして、ここからがポイントなのですが、その量子の振る舞いは観測者によって決定するということなのです。つまり、観る人がいないと正確な位置も運動量も確定できないのです。また、観る人がいない場合と、観る人がいる場合とでは、量子の流れは変わっていることが判ってきました。
つまり、意識は量子力学的な現象に作用しているということです。
意識には未知のパワーがある。これはオカルトでもなければスピリチュアルでもない。サイエンスの世界の話なのです。
しかし、日常生活に置き換えてみると、観測者がいないと現象が確定していないということは、うまく理解できないことです。例えば、シュレディンガーの猫というパラドックスがあります。
ごく簡単に解説すると、箱の中に一匹の猫がいるわけですが、致死量を含む毒と一緒に入っています。現象が確定していないということは、この箱のフタを開けるまで、生きている猫と死んでいる猫の2つの状態が重なっているということです。箱を開けて、観測者がそれを見たときに、はじめて状態が確定する。
なかなか奥が深いですね。
ともあれ、こうしたことを学んで池田さんは思いました。
「引寄せの法則」とか「成功法則」とか、意識が変われば物事が変わっていくというようなことが、いろいろと言われているけど、これらは科学的な出来事なのかもしれないと。
意識が量子に作用しているのなら、我々の意識がこの世界を創り出していると言ってもいい。
ならばマイナスの意識を持てば、マイナスの出来事が起きてくる、プラスの意識を持てば、プラスの出来事が起きてくる。このことは不思議なことではない。
私たちは、戦後ずっと西洋を規範としてきました。
西洋は自然と人を切り離して考えている一方で、東洋では人は自然の一部と考えている。
私たちはもっともっと先人から学べるのではないか。
易經、陰陽五行、般若心経、そして量子の粒と波。
すべてがつながっているように思えてならないと語る池田さん。
そして、いろいろなサイクルの符号。
太陽の活動周期と経済活動の周期の一致、経済成長のSカーブに見られる規則性、宇宙、自然、人間、素粒子のつながり。今回の池田さんの話は本当に多岐に渡り、参加してくださった皆さんからもたくさんの質問や感想が飛び出し、まさに参加者の意識が世界を変えるといった圧巻の2時間でした。
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