活動報告
「外国人雇用ホントのところ Win-Winの関係になるためには?」を開催しました
2019年8月9日、ダイバーシティ研究所代表の田村太郎さんを講師にお迎えして、
「外国人雇用ホントのところWin-Winの関係になるためには?」を開催しました。
定員をオーバーするくらいの方がお越しくださり、みなさん食い入るように田村さんのお話を聞いていらっしゃいました。
田村さんからはまず日本で暮らす外国人の概要についてお話がありました。今、日本には約280万人の外国人住民がいて、国籍の多様化、在留資格の多様化、年代・世代の多様化という3つの多様化が進行していること、在留資格別に見ると、活動に制限がない在留資格が全体の6割を占めること、訪日外国人が大幅に増加しているが、その背景にはアジアの経済成長があること等をわかりやすく話していただきました。2018年の訪日外国人の年間旅行消費はなんと4兆5189億円。外国人観光客の利用で、鉄道やバス路線を維持できているところ、飲食店や小売店が存続しているところもたくさんあります。病院もそうです。これからは外国人の利用が見込めるような地域インフラを作ることが大切です。大学も高校を卒業したばかりの日本人だけをターゲットしていては、早晩立ちいかなくなるところが多い。高卒、社会人、そして留学生を3分の1ずつというポートフォリオを描いていった方がいい。
次は改正入管法の施行と政府の対応策についてのお話でした。在留資格「特定技能」が新設されたわけですが、受け入れ企業側は特定技能より技能実習生のビザを選んでいる状況。技能実習生は転職の自由はないのですが、特定技能ビザは同じ職種内なら転職することが可能なので、企業側が特定技能ビザにすることを渋っている状況があるのです。しかし、技能実習制度は世界の人権団体から非難されている制度なので、技能実習生を雇っているところで作った製品は使われなくなる可能性もあります。世界中の視線が集まる東京オリンピック・パラリンピックを来年に控えていることもあり、技能実習制度は長くは続かないと思っておいた方がいい。政府はこれまでの反省も踏まえ、2018年末に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を策定しました。これをやるかやらないかは自治体の判断ですが、生き残れる地域にするためにはいち早く動いた方がいい。例えば、今、ガス、水道、道路という私たちの生活に不可欠なインフラ整備を請け負ってくれる業者が圧倒的に足りていない。入札の不成立もとても多い。外国人労働者を受け入れたくても、中小企業が自前で日本語教育等をやるのは難しい。そこで、自治体や商工会議所等の大きな団体が日本語教育をはじめ外国人受け入れのための制度をきちんと整えれば、中小企業も外国人を雇いやすくなるし、外国人側にとっても、「あそこに行けば不安なく過ごせる」ということになる。外国人コミュニティの情報拡散力はすごいものがあります。地域の産業を守っていくためには、今すぐ動いた方がいい。特定技能ビザは転職の自由があるからこそ、外国人に選ばれる地域になればいいのです。
そして、これからの企業や地域に求められる取り組みとして、全国の成功事例もお話いただきました。外国人の雇用で付加価値を生み出せること、今までになかったマーケットが生み出せること。外国人を雇用するときに、在住外国人の6割を占める仕事に制限のないビザを持つ人々に注目することや、留学生等のブリッジ人材をテコにすれば外国人受け入れの好循環を生み出せること等、なるほど!というお話が続きました。また外国人と働くときには外国人側だけではなく、日本人側の研修もとても大切です。
互いのちがいを知り、ちがいを受け入れ、ともに変化し成長していくのが多文化共生社会なのです。
田村さんのお話はどれも新たな視点のヒントを与えてくれるものでした。
その後の質疑応答の時間も、時間が足りなくなるくらいに質問がたくさん出ました。田村さんはたくさんの事例をお持ちなのでいろいろな質問にたいする答えがまたとても勉強になるのです。今回も、福祉施設について、医療ツーリズムについて、登録支援機関について、建設業界について等の質問が出ましたが、どれも本当に聞いてよかった!と思う内容でした。この質疑応答については来ていただいた方への参加特典ということで、詳細は割愛します。
まだまだお話を聞きたかった!という意見もたくさんいただいたので、第2弾も計画したいと思います。
どうぞお楽しみに!
災害時に多様な属性に配慮できる研修会でした。
2019年6月28日、福井市湊公民館で「災害が起きたら!~どんなことに困る?どうしたらいい?~」という演題での講義とグループワークを行ってきました。
お話の軸は、3つの「わからない」について、考えてみましょう!というものです。
1つめは、今まさに災害が起きた瞬間、何が起きているのか「わからない」ということ。
2つめは、その次に、どうしたらいいのか「わからない」ということ。
3つめは、最終的に、元の生活に戻る方法が「わからない」ということ。
1つめは、何が起きたのか、正しく判断できるかどうかということ。これは地震なのか水害なのか、はたまた人災(戦争やテロなど)なのかということですね。現実に起きていることを正しく認識するためには、事前の予備知識や備えが必要ですし、それによって、大きく判断が変わってきます。
2つめは、いわゆる避難行動ですね。初動の部分でどう行動していくのか。災害大国(というのも変な言い方ですが)の日本では、具体的な行動様式がかなり浸透していますが、世界的にみても、多くの人は地震を体験していないばかりか、その言葉すら知らないこともありますので、事後の対処行動に大きな乖離が出てきます。
3つめは、生活再建の部分です。日本には公的な支援制度がたくさんありますが、その存在すら知らないと、生活再建の道がひどく困難な道になってしまいます。公的支援を活用できる人とそうでない人は、その再建のプロセスに大きなちがいが出てきます。
こんな3つの「わからない」にポイントを置きながらお話を進め、後半には、参加者のみなさんに、具体的なワークに取り組んでいただきました。
今回は、各グループに外国人の方にもご参加いただき、それぞれの視点での「わからない」ということにも、お話いただきました。
そんなこともあり、グループワークでは活発な話し合いが行われ、大変、にぎやかでした。
地区単位で、当該地区住民が話し合う場があるということも、とても大切なことのひとつですね。
研修をコーディネートしている側ではありますが、大変、学びの多い場でもありました。こうした地域に根差したものが、もっともっといろいろあるといいなと思いました。
今回、この研修を企画された湊公民館さまは、日頃からいろいろな地域活動を展開なさっているようで、「外国人も含めた地域の防災ってどうなの?」ってところから今日の研修に至ったようです。湊地区は、福井市内でも最も外国人が多く住んでいる地域なんです。
参加者のみなさんからは、本当にいろいろなご意見もいただきました。
こういう地区単位での防災への取り組みなど、いろいろと企画立案、実行していくと実りあるものも多くあるように思いました。ステキです。
これからも、いろいろな取り組みを進めていかれるのではないかと思いますが、今回の講座もその一助になればいいなと思いました。
みなさんの地域でも、いろんな人がいることを再認識し、いろいろな活動を行っていくなかで、災害時対応はもとより、地域での結びつきが強くなっていけばいいなと思う次第です。
ぜひ。
こちらは日刊県民福井に掲載された記事です。
世界自閉症啓発デーLIUB in Japan2019@世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落開催のご報告
2019年4月2日に世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落で世界自閉症啓発デーLight it up Blueを開催しました。
2012年から開催して今年で8年連続開催の運びとなりましたが、なんと今年は4月の雪!
山の早咲きの桜が咲く中に雪の舞う幻想的な雰囲気の中でのLIUBになりました。
今年の五箇山菅沼でのLIUBのテーマはアート
part1.見る 13:00~21:00 アール・ブリュット五箇山
障害者アートの世界に触れてみませんか?
会場の与八さんに作品が展示されました。
そして蒼い光に包まれた合掌造り集落。今年は雪の白に映えて本当にきれいです。
午後7時。合掌造り家屋の与八さんの中では、障害者アートについて耳を傾ける時間になりました。
part2.感じる
まずは社会福祉法人めひの野園 みしまの工房 漆・工芸班生活指導員 岡崎秀徳さんのお話です。
岡崎さんは高校の美術教師になりたくて、教育学部で美術を専攻しましたが、めひの野園の利用者の方の描いた「いわなと山ぶどう」を見て衝撃を受けました。そんな岡崎さん、めひの野園の就職面接の時に絵画教室で絵を教えられるかと聞かれ、「できません」と答えたそうです。
しかし、面接の場にいらした当時の園長(故・中田勉前理事長)が、「彼らに指導するなんてことは考えなくてもいいですよ。ただ、ありのままに描かせてあげればいいがや。」と言われたそうです。そして、絵の描き方に限ったことではなく、自閉症の方への支援そのものについても、こうおっしゃったそうです。
もし、変わる必要があるとしたら、それは「周りの環境」と、彼らに対する「周囲の理解」なのだと。
めひの野園では、園設立当初から「自閉症の方は視覚を通して学ぶ」ことに着目され、陶芸、手芸、農業など、その道のプロを講師として呼び、「本物を見て学ぶ」支援に取り組んでこられました。
そして岡崎さんもその思いを継承されています。
そして今、実際にめひの野園の絵画教室で創作されている方の様子をお話してくださいました。
自閉症の人たちに接していると、私たちが気付かないようなところに彼らが感動し、そのすばらしさを紙いっぱいに表現している場面に出会えます。そんな日々を岡崎さん自身大切に過ごしておられるのがとても印象的でした。
続いて登壇されたのは、富山県障害者芸術活動支援センターばーと◎とやま代表の米田昌功さん。
https://bearttoyam.jimdofree.com/
米田さんは美大在学中は日本画を専攻されていましたが、障害者の方の描く美術の独創的な世界に関心がありました。
そして特別支援学校の美術教師になりました。
当時、特別支援学校では運動に力を入れて、アートには全く力を入れていませんでした。
そんな中、米田さんは障害者美術の展覧会を開催するなどして、障害者アートに力を入れていったのです。
障害者アートでは、指導しない方がいい作品ができる!これは岡崎さんもそうでしたが、米田さんも強く感じていることでした。
米田さんが代表を務めるばーと◎とやまの「ばーと」はBe=ARTです。Beは存在や生。ARTは表現。
存在や生そのものがアートであり、障害のあるなしに関わらず誰もがアートにかかわる、そんな思いが込められています。
アールブリュットというのも、フランス語のART BRUTから来ています。
BRUTというのはワインの樽の栓を抜いて一滴目。つまり生まれたままの飾りがない状態を言います。
自分の心の声に従った飾りのない作品がアールブリュット。
技術や知識を意識せずに、ありのままに勝手に手が動くといった感じで描かれる作品は今までの美術史の体系に入っていません。今までのアートの領域にはないそんな作品の数々が、アートが本来もっている表現の多様性や人間の可能性を再認識させてくれると、今、大注目を集めているのです。
障害者の方々が、見られること飾られることを意識せずに、ただ無心に作っているものが、視点を変えることで強烈なアートになります。例えば、床に落ちている髪の毛を拾い集めて、それを星座の形にしている人がいます。私たちの持つ概念をぶっ壊して新しいものが生み出されている、今、障害者アートはアート改革の中心にあると言ってもいいのでしょう。
そしてその新たな発見を生み出すアートは、コミュニティ全体の価値観を変化させる力を持っています。まさに福祉の現場がドラスチックに動いている、そんな時代にあるのです。
そんな障害者アートに触れる映画があります。
5月18日~31日まで富山市中央通りのほとり座にて
ドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」が上映されます。
この映画は、知的障害や精神疾患をもつアーティストたちによる創作物の魅力を、ジャーナリストや美術関係者のインタビューを交えて紹介するドキュメンタリー映像作品です。滋賀県にある障碍者施設「やまなみ工房」に通所するアーティストたちのユニークな創作スタイルや日常、障害をもつアーティスト自らが語る精神状態と創作の関係性など、作品の映像を織り交ぜながら、彼らの切実な表現欲求の根源を探ります。
ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
予告編はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=rt3kUvuAW6o
米田さんの持って来られた作品も所狭しと並べられました
写真右の素敵な笑顔は8年連続コーディネーターをしてくださっている、めひの野園の東さん
そして最後は実際に体験する時間の始まりです。
臨床美術士の渡辺恭子さんが中心になって臨床美術の体験ワークショップが始まりました。
臨床美術は上手も下手も関係なく、誰もが楽しみながら作品を作ることができるアートのひとつで、独自のアートプログラムに沿って創作活動を行います。五感が刺激されることで脳が活性化し、それがココロの解放にもつながる、そんな臨床美術の世界を体験できる時間でした。
今回のテーマは「パステル色の空」
それぞれが思い思いの空を描きます。
描いているうちにどんどん夢中になっていく皆さん。
そうして、最後に皆さんで描いた絵を鑑賞します。
こうして、「見る 感じる 作る」を体験できた世界自閉症啓発デーになりました。
帰りに外に出ると、雪が更に降り積もっていました。凛とした空気に包まれて清々しい気持ちになりました。
今年も五箇山菅沼で皆さんに出会えたことに感謝します。
また来年、この地でお会いできますように。
主催:NGOダイバーシティとやま/富山県自閉症協会
共催:越中五箇山菅沼集落保存顕彰会/ 社会福祉法人めひの野園
後援:富山県/南砺市
協賛:NPO法人真おやじ塾/アルカスコーポレーション㈱/四国管財㈱/㈱Humming bird/㈲中野工業/㈲森本自動車/ライフガード北陸//日本海ガス絆ホールディングス株式会社/富山トヨタ自動車㈱/前田薬品工業㈱/ホテルパークイン砺波インター/つくしの家グループ
協力:ヤマシナ印刷(株)/ 花椿かがやき/ 夢響村塾とやま/とやまcocolo会/コミュニティハウスひとのま/富山大学水内研究室/ Yuhsuke Takata
「人口減少社会での外国人の受け入れとコミュニティ・デザイン」基調報告のご報告
3月9日(土)、京都府立大学主催の連続自治体特別企画セミナー「人口減少社会での外国人の受け入れとコミュニティ・デザイン」の基調報告として、現在、日本社会が直面している危機的状況について、お話させていただきました。
話の切り口は、昨年末の入管法の改正から多文化共生の現状ですが、現在の日本社会が直面している諸問題について、包括的に課題提起をさせていただきました。
この法改正に伴い、日本に居住する外国人がますます増加するとの過熱報道がありますが、本当にそうでしょうか。近視眼的に外国人に依拠することに問題はないのでしょうか。もしかしたら、制度の綻びはますます深刻化し、崩壊へのスピードが速まるだけではないのか。
そういったお話を大局的にさせていただきました。
こうした大局的な現状を踏まえて、おふたりの方からコミュニティの目線で話題提供があり、じわじわとボディブローが効いてきている地域の様子がよくわかってきます。
これを受けて、参加者のみなさんによる円卓会議を行いました。参加者のみなさんが関心を持っているテーマでそれぞれグループを作り、自由に意見交換が行われました。それぞれに当事者あり実践者ありで、深みのある意見が多く出され、最後のフロアセッションでは様々な意見が交錯し、円卓会議の醍醐味を堪能することができました。
京都府立大学京都地域未来創造センターの鈴木さん、貴重な場を提供くださりありがとうございました。
また、参加者のみなさんにも大変お世話になりました。
ダイバーシティとやまでは、今後も制度改正の推移や現状を見据えつつ、課題提起も積極的に発信していきたいと思っています。
鯖江市で「やさしい日本語」の研修会が開催されました。
2019年2月6日(水)に武生商工会館で、ふくい市民国際交流協会、鯖江市国際交流協会、越前市国際交流協会からなる外国人の防災対策事業実行委員会主催の「外国人の防災対策事業研修会」に参加してきました。
代表の宮田と事務局長の柴垣の二人が講師として出講するのは非常に珍しいケースなんですよ。研修の内容以前に、ちょっとプレミアム感のあるレアな研修会となりました。
さて、依頼内容は、災害時の外国人支援における「やさしい日本語」の理解促進を図るものですが、「伝わる日本語の本質を捉え、防災啓発や災害時に円滑な外国人支援活動を行える支援者(職員)を育成することを目的とする」とあります。なかなか重たい感じがいたしますね。
今回は、前半の講義の部分を柴垣が、後半のグループワークの部分を宮田が受け持つ形で実施いたしました。
柴垣からは、災害時にどうして外国人への支援が必要になってくるのか、その支援内容や情報提供のあり方などを全般的に網羅して解説し、それを踏まえて、やさしい日本語の有効性について、お話させていただきました。
宮田からは、まず、やさしい日本語の事例紹介や基本的なルールの紹介を行った後、個人ワークでいくつかの課題に取り組みました。いくつかの課題に取り組む中で、参加者の頭の中も「やさしい日本語」へとシフトしていっているようでした。日々、接している日本語学校の学生たちの声も織り交ぜながらお伝えさせていただきました。その後、実際にNPO法人多文化共生マネージャー全国協議会(実際に東日本大震災や熊本地震等において支援活動を行った実績のある団体)が作成した災害関連情報を、各グループでやさしい日本語へと翻訳していただき、原稿を作成してもらいました。
最後に全体共有ということで、各グループが作成した「やさしい日本語」の原稿を発表いただき、宮田、柴垣からいくつかコメントをさせていただきました。
今回の参加者は、各市町の行政職員(そのほとんどが防災担当部署の職員)が大半とのことで、被災時には情報発信の最前線に立たれる方たちでした。
最後のグループ発表を見ていると、ほぼ初めて取り組む「やさしい日本語」であるにも関わらず、とても素晴らしい模範的な「やさしい日本語」になっており、みなさんの能力の高さに感動を覚えるとともに、非常に頼もしく思えた次第でした。
いつ、どこで発生するかわからない災害ですが、福井県内では今回の研修によって被害の度合いが少しでも軽減されるのではないかなと思います。
主催者のみなさま、参加者のみなさま、ありがとうございました!
越前そばも美味しくて、お土産に買い求めたソースカツ丼、羽二重餅も絶品で、すっかり福井ファンになりました。また機会があれば、福井にお邪魔したいと思います!
【緊急企画!第2弾】外国人労働者が入ってきたらホントのところどうなるの?生き残れる地域社会にするにはどうしたいいの?の開催報告
前回、昨年の12月13日に開催した同企画の第1弾ですが、大変、好評であり、また、第2弾も開催してほしいとのご要望も多く寄せされたことから、1月12日に第2弾を開催いたしました。
12月8日の法改正の成立後、メディアの報道は幾分、過熱報道から熱が引いた感じがありますが、同じように、今回の参加者からは冷静な視点や日常的に直面している現状に関してのご意見が多くありました。
第1部としては、前回とほぼ同じ内容をお伝えしたところではありますが、はじめに、参加者のみなさんの問題意識の所在について、一言ずつお聞きしたこともあり、みなさんの問題意識にも少し触れながらのお話をお伝えさせていただきました。
第2部は、前回のようにテーマを決めたのグループワークではなく、ゆるやかなファシリのもと、参加者全員での意見交換の場としました。
参加者のみなさんは、それぞれに日々感じていることを意見交換し、ある人の意見発表に次いで、幾分、見方は違うが似たような出来事が異なる分野で生じていることや、外国人という切り口ではなく、日本人同士であったり、男女や子育て、障害の有無などといった現場でも「こんなことがある」という発展的な意見が相次ぎました。 そして、コーディネーター的な役割を(実際に)担っている人をつないでいくことが必要ではないか、「相談窓口」といっても構えている(待っている)だけでなく、アウトリーチしていく方法も必要ではないか、すでにある資源をいかに生かしていくか、また拡充、充実化させていくのかといった建設的な意見が多く出されました。
今回ご参加のみなさんは、日常的に、また個人や仕事としての関わりからも一歩先に行きたい、現状を打開したいと感じておられる方がほとんどであり、終了時刻後も活発な意見交換が続きました。 単に制度解説の場を提供するのではなく、さまざまな分野で活躍していらっしゃる人たちが同じテーマ(外国人という大雑把なテーマであっても似たような課題を抱えているといったようなテーマ)で話し合う場を提供していくことも、また必要なことだと実感した次第です。 いろいろなご要望もいただきましたので、引き続き、私たちにできることを考えていきたいと思っています。
私たちもたくさんの学びをいただきました。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
緊急企画!外国人労働者が入ってきたらホントのところどうなるの?生き残れる地域社会にするにはどうしたいいの?
2018年12月8日の出入国管理法の改正案成立を受けて、緊急セミナーを開催しました。
告知後、間もない開催で、しかも平日の18時スタートにも関わらず、20名もの方にご参加いただき、改めてこの法案に対する関心度の高さを垣間見た思いです。
~各種メディアではいろいろ報道されてはいるものの、今ひとつよくわからない。でも何だかとてつもないことが起きてしまいそうで、少し不安だ。正直なところ、そういった正体のつかめない曖昧模糊としたものと対峙したときのえもいわれぬ足元の危ういような感覚に陥る。そんな感じではないだろうか。
こうした不安感や恐れがそのまま外国人住民へと向けられてはならない。日本社会がどのような現状にあり、外国人住民を巡る諸事情がどのようになっており、ともに地域で暮らすことになっていく(なっている)のかということを、正しく伝えていかなければならない。~
そうした思いでこの緊急企画のセミナーを開催いたしました。
第1部では、外国人住民を巡る現状について、そして今回の法改正の内容について、日本社会が直面している危機的な状況とともに解説を行いました。
まず、基本的なこととして、人口移動というものが生じる理由、そして外国人の法的な地位、権利義務はどのようになっているのか、日本に滞在するための在留資格というものは、どのような性質のものなのかといったところの解説です。
次に、日本の産業が衰退している状況や壊滅的な危機に瀕している現状を紹介し、そのうえで、現在、外国人住民がどのくらい住んでいるのか、また、5年間で35万人の受入という規模はどの程度のインパクトをもったものなのかといったことを見ていただきました。1年で7万人ずつ受け入れていくという受入枠は、人口減少社会を迎えた日本社会にとって、拍子抜けするくらいに「焼け石に水」としか思えず、さはさりながら、これが2100年ほどまで続いていくと、労働者の3人に1人が外国人といった社会になってしまうのです。外国人も日本社会の構成員として捉えていかないと、社会保障制度など各種公的なサービスは早晩崩壊することが誰の目にも明らかでしょう。早々に制度構築しなければならないにも関わらず、「拙速だ」と片付けようとするのは、ほとんど何も考えていないに等しい拙速な理解と言わざるを得ません。
そして、人口に占める割合が、わずか2%ほどの外国人住民ですが、この2%程度の外国人がどれほど日本社会の中で大きな影響を及ぼしているのか、さまざまな角度で検証していきます。
例えば、日本国内での人口移動。この転入転出人口に占める外国人の割合は2%なんてものではない。20%どころか80%になっているところもある。外国人住民の受入がなければ、立ち行かなくなっている地域が確実に存在しているのです。そして、県単位で眺めてみても、日本人は増加しているが、外国人が減少している地域、年代別に動き方がシンクロしている様子などをみると、面白い傾向があることが想像できる。例えば、日本人も外国人も増加している地域がある一方で、日本人も外国人も減少している地域もある。日本人にも外国人にも見捨てられる地域とは、どういうものなのか、当該地域においては、真剣に考えてみなくてはならないだろう。
これは、何も外国人だけのことでなく、子育て世代が暮らしやすいところや、高齢者や障害者が暮らしやすい地域が現実に選ばれている、または、捨てられていると受け止めなければならないことでしょう。
最後に、今回の法改正に照準を合わせて、現在の外国人労働力がどのような状況にあるのかといったあたりを概観しながら、どういう在留資格を持ちながら、永住化(すなわち日本社会の構成員となること)が進んできているのかという解説です。
改正法案は、詳細が省令に委ねられている部分がとても多く、今後、どのようになっていくのか不透明な部分はあるものの、現在、明示されている部分だけを見ても、言葉は悪いですが、事実上「10年間の使い捨て労働力の確保」にばかり執着した結果と見てもいいでしょう。
「なんと!それはけしからん」と、ここで終わってはいけないのです。真の問題は別のところにあるのです。
北日本新聞記事で、要点を押さえて記事に掲載していただいてます。当該部分を引用すると、次のとおりです。
—–ここから—–
多文化共生マネージャー全国協議会(大阪)の柴垣禎理事が、人口減少の現状などを説明。外国人技能実習生は新在留資格「特定技能1号」への移行で計10年間活動できるようになるが、企業が「とりあえず人がいれば」という発想で技能実習制度に頼り、問題を先送りするのは「日本の課題だ」と指摘した。
—–ここまで—–
また読売新聞富山版でも連載記事の一部に今回のセミナーが取り上げられました。
北日本新聞12月14日 読売新聞12月15日
第2部では、グループワーク形式で、参加者のみなさまがそれぞれで捉えている地域の課題や、目指すべき地域の姿、そのアプローチ方法等、さまざまな意見が飛び交いました。
第1部の講義を受けて、外国人住民から恩恵を受けているわけだから、社会全体はもちろん、企業も受け入れに必要となるもの・ことを負担し、互いにメリットを享受し合える関係を構築していかなければならないといった非常に建設的な意見も提出されました。
ワークでの意見は、とても書ききれませんが、参加者のみなさんだけの特典ということで、ここでは割愛させていただきます。みなさま、本当にお疲れさまでした。
さて、緊急開催だったこともあり、セミナーに参加できず、追加開催を求める声も届いております。心よりお詫び申しあげます。大変、失礼いたしました。
またの機会ができましたら、早めに開催告知をいたしたいと思っております。
ご参加いただいた方、所要により見送られた方、日頃よりダイバーシティとやまの活動に注目してくださり、誠にありがとうございます。
引き続きのご支援、よろしくお願いいたします。
とやま外国人活躍セミナーベトナム編でファシリテーターでした
9月16日
とやま外国人活躍セミナーベトナム編part1でした。
今、全国的にベトナム人が急増していますが、富山も例外ではありません。
この日は富山大学の大学院で学ぶトラン・ディン・トゥンさんから話題提供をしてもらいました。
またベトナムの生春巻きと揚げ春巻きもベトナム人学生が作ってくれて、皆さん口々に美味しいとおっしゃっていました。
そしてグループにわかれて、今富山県に住んでいるベトナムの人たちの課題を話し合いました。
各グループには1~2人のベトナム人が混ざり、今困っていることをいろいろ出してもらいました。
いちばん多かったのはやはり言葉の問題でした。これだけベトナムの人が増えているにもかかわらずまだまだベトナム語表記の案内が少ないこと、また日本語が学習できる場の情報がとぼしいこと、災害時にどうすればいいのか全然わからないといった声も聞かれました。
トゥンさんからは、アパートの近所の人に自分から積極的に挨拶することの大切さの話が出ました。それによって近所付き合いが生まれ、若いトゥンさんは大雪の時には雪かきを手伝い、近所のおばあさんはいつも野菜等をわけてくれる、そんなお互いがお互いを思いやる交流が生まれている話が出ました。またアパートの大家さんや近所のおじさんが常に親身になって相談に乗ってくれ、困った時も助けてくれているといった暖かい話をたくさん出ました。
仕事をリタイアしたけれど、まだまだ元気な方が日本には大勢います。その近所のおじさんも実習生のベトナム人にも親身になってあげ、それが人生の張りになっている様子でした。
今回出た話を元にして、part2ではトゥンさんが来年度実施したい事業案をプレゼンします。
part2は11月10日を予定しています。
ぜひお越しください。
広域連携による災害時外国人支援ボランティア研修会のワークショップでファシリテーターでした
7月29日(日)広域連携による災害時外国人支援ボランティア研修会のワークショップでファシリテーターでした。
仙台国際交流協会作成のワークショップ教材を使って、避難所の中で起こる「日本人」と「外国人」の間の問題を 参加者の皆さんと一緒に考えました。
言語や文化の違いから起こる誤解や行き違いについて、解決の方法や、どうすればそのようなことが起こらないようにできるかを参加者で話し合うことを目的としているのがこのワークショップです。
この日は7グループに分かれて話し合ったのですが、どのグループも活発に意見が出ました。
富山は災害が少ない県だと言われて安心している人も多いですが、実際に避難が必要となった時に急にあわてることなく、日本人も外国人も落ち着いて行動するためにも、平時の備えの大切さを改めて感じる時間となりました。
高齢化が進む今、若い外国人は支援される側ではなくて支援する側になれることを、先日の西日本豪雨水害の時も実感しました。そんな外国人の力を活かすためにも、やさしい日本語や各国語を使った災害時の対応が大切になります。
今、私たちがやっておけることは実はとても多いのです。
とやま外国人活躍セミナーブラジル編にてファシリテーターでした
2018年6月16日とやま外国人活躍セミナーブラジル編でファシリテーターでした。
ブラジルのシルビアさんの住む町内の公民館で開催。町内の人とブラジルの人が集まって同じテーブルで問題を共有しました。まずはお互いどんな思いでいるのかを知る、小さいけれど大きな一歩です。近所で暮らしている人たちだからこそ、等身大の悩みも出てくるし、あったかい繋がりができる。今日はシルビアさんが美味しいブラジル料理も作ってきてくださったのですが、早速習いに行きたいという声も。
この日出てきたたくさんの問題を掘り下げてアクションプランを作ります。
アクションプランの発表は8月25日同公民館にて開催予定です。
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