世界自閉症啓発デーLIUB in Japan2019@世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落開催のご報告

2019-04-03

2019年4月2日に世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落で世界自閉症啓発デーLight it up Blueを開催しました。

2012年から開催して今年で8年連続開催の運びとなりましたが、なんと今年は4月の雪!

山の早咲きの桜が咲く中に雪の舞う幻想的な雰囲気の中でのLIUBになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の五箇山菅沼でのLIUBのテーマはアート
part1.見る 13:00~21:00 アール・ブリュット五箇山
障害者アートの世界に触れてみませんか?

会場の与八さんに作品が展示されました。

 

 

 

 

 

 

 

そして蒼い光に包まれた合掌造り集落。今年は雪の白に映えて本当にきれいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後7時。合掌造り家屋の与八さんの中では、障害者アートについて耳を傾ける時間になりました。

part2.感じる

まずは社会福祉法人めひの野園 みしまの工房 漆・工芸班生活指導員 岡崎秀徳さんのお話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

岡崎さんは高校の美術教師になりたくて、教育学部で美術を専攻しましたが、めひの野園の利用者の方の描いた「いわなと山ぶどう」を見て衝撃を受けました。そんな岡崎さん、めひの野園の就職面接の時に絵画教室で絵を教えられるかと聞かれ、「できません」と答えたそうです。

しかし、面接の場にいらした当時の園長(故・中田勉前理事長)が、「彼らに指導するなんてことは考えなくてもいいですよ。ただ、ありのままに描かせてあげればいいがや。」と言われたそうです。そして、絵の描き方に限ったことではなく、自閉症の方への支援そのものについても、こうおっしゃったそうです。

もし、変わる必要があるとしたら、それは「周りの環境」と、彼らに対する「周囲の理解」なのだと。

めひの野園では、園設立当初から「自閉症の方は視覚を通して学ぶ」ことに着目され、陶芸、手芸、農業など、その道のプロを講師として呼び、「本物を見て学ぶ」支援に取り組んでこられました。

そして岡崎さんもその思いを継承されています。

そして今、実際にめひの野園の絵画教室で創作されている方の様子をお話してくださいました。

自閉症の人たちに接していると、私たちが気付かないようなところに彼らが感動し、そのすばらしさを紙いっぱいに表現している場面に出会えます。そんな日々を岡崎さん自身大切に過ごしておられるのがとても印象的でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて登壇されたのは、富山県障害者芸術活動支援センターばーと◎とやま代表の米田昌功さん。

https://bearttoyam.jimdofree.com/

米田さんは美大在学中は日本画を専攻されていましたが、障害者の方の描く美術の独創的な世界に関心がありました。

そして特別支援学校の美術教師になりました。

当時、特別支援学校では運動に力を入れて、アートには全く力を入れていませんでした。

そんな中、米田さんは障害者美術の展覧会を開催するなどして、障害者アートに力を入れていったのです。

障害者アートでは、指導しない方がいい作品ができる!これは岡崎さんもそうでしたが、米田さんも強く感じていることでした。

米田さんが代表を務めるばーと◎とやまの「ばーと」はBe=ARTです。Beは存在や生。ARTは表現。

存在や生そのものがアートであり、障害のあるなしに関わらず誰もがアートにかかわる、そんな思いが込められています。

アールブリュットというのも、フランス語のART BRUTから来ています。

BRUTというのはワインの樽の栓を抜いて一滴目。つまり生まれたままの飾りがない状態を言います。

自分の心の声に従った飾りのない作品がアールブリュット。

技術や知識を意識せずに、ありのままに勝手に手が動くといった感じで描かれる作品は今までの美術史の体系に入っていません。今までのアートの領域にはないそんな作品の数々が、アートが本来もっている表現の多様性や人間の可能性を再認識させてくれると、今、大注目を集めているのです。

障害者の方々が、見られること飾られることを意識せずに、ただ無心に作っているものが、視点を変えることで強烈なアートになります。例えば、床に落ちている髪の毛を拾い集めて、それを星座の形にしている人がいます。私たちの持つ概念をぶっ壊して新しいものが生み出されている、今、障害者アートはアート改革の中心にあると言ってもいいのでしょう。

そしてその新たな発見を生み出すアートは、コミュニティ全体の価値観を変化させる力を持っています。まさに福祉の現場がドラスチックに動いている、そんな時代にあるのです。

そんな障害者アートに触れる映画があります。

5月18日~31日まで富山市中央通りのほとり座にて

ドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」が上映されます。

この映画は、知的障害や精神疾患をもつアーティストたちによる創作物の魅力を、ジャーナリストや美術関係者のインタビューを交えて紹介するドキュメンタリー映像作品です。滋賀県にある障碍者施設「やまなみ工房」に通所するアーティストたちのユニークな創作スタイルや日常、障害をもつアーティスト自らが語る精神状態と創作の関係性など、作品の映像を織り交ぜながら、彼らの切実な表現欲求の根源を探ります。

ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

予告編はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=rt3kUvuAW6o

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米田さんの持って来られた作品も所狭しと並べられました

写真右の素敵な笑顔は8年連続コーディネーターをしてくださっている、めひの野園の東さん

 

そして最後は実際に体験する時間の始まりです。

臨床美術士の渡辺恭子さんが中心になって臨床美術の体験ワークショップが始まりました。

臨床美術は上手も下手も関係なく、誰もが楽しみながら作品を作ることができるアートのひとつで、独自のアートプログラムに沿って創作活動を行います。五感が刺激されることで脳が活性化し、それがココロの解放にもつながる、そんな臨床美術の世界を体験できる時間でした。

 

 

 

 

 

 

 

今回のテーマは「パステル色の空」

それぞれが思い思いの空を描きます。

描いているうちにどんどん夢中になっていく皆さん。

そうして、最後に皆さんで描いた絵を鑑賞します。

 

 

 

 

 

 

 

こうして、「見る 感じる 作る」を体験できた世界自閉症啓発デーになりました。

帰りに外に出ると、雪が更に降り積もっていました。凛とした空気に包まれて清々しい気持ちになりました。

今年も五箇山菅沼で皆さんに出会えたことに感謝します。

また来年、この地でお会いできますように。

 

主催:NGOダイバーシティとやま/富山県自閉症協会
共催:越中五箇山菅沼集落保存顕彰会/ 社会福祉法人めひの野園
後援:富山県/南砺市
協賛:NPO法人真おやじ塾/アルカスコーポレーション㈱/四国管財㈱/㈱Humming bird/㈲中野工業/㈲森本自動車/ライフガード北陸//日本海ガス絆ホールディングス株式会社/富山トヨタ自動車㈱/前田薬品工業㈱/ホテルパークイン砺波インター/つくしの家グループ
協力:ヤマシナ印刷(株)/ 花椿かがやき/ 夢響村塾とやま/とやまcocolo会/コミュニティハウスひとのま/富山大学水内研究室/ Yuhsuke Takata



		
		

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