活動報告
青少年育成黒部市民会議総会での講演のご報告
2013年6月29日に青少年育成黒部市民会議総会にて講演させていただきました。
日頃から青少年育成活動に従事していらっしゃる方々に、子どもたちの未来のためにも、これからの社会ではダイバーシティの考え方は不可欠だということをお話させていただきました。
ダイバーシティという言葉自体聞くのは初めてだったという方も多かったのですが、みなさんとても興味深く聴いてくださいました。
「当市民会議の、青少年がいきいきと自分の居場所を持って生きる社会づくりへの思いと重なり、充実した講演会となりました。」と言っていただきました。お話させていただいたことが少しでもみなさんの中に残れば嬉しく思います。
講演には宮田が以前日本語学校で教えた学生も駆けつけてくれました。今日本人のご主人と結婚され黒部に住んでいる韓国の女性です。突然マイクを渡しましたが、日本に住む外国人の立場から思うことを話してくれました。
これからもダイバーシティとやまでは、多様な人々が力を活かせる富山を目指して活動していきたいと思っています。
ダイバーシティとやまのこんなこと聴いてみたい!講演や研修を依頼してみようかな等ございましたら、ホームページのお問い合わせからぜひどうぞ☆
7月1日付の北日本新聞
2013年度定期総会報告
4月20日(土)に、ダイバーシティとやまの定期総会を開催しました。
ただの総会だけじゃ、もったいない!ということで、今年度の総会も、第1部を総会議事、第2部をワークショップという2部構成で開催いたしました。一粒で何度も美味しいのが多様性を推進するダイバーシティのとやまの醍醐味!
第1部の総会議事では、昨年度の事業を振り返り、改めて、とてもたくさんの方々に支えられていたことを実感いたしました。数多くの喜びとたくさんの発見がありました。新たな気づきを活かし、次年度もしなやかな地域づくりに向けて、進んでまいりたいと思っています。
2012年度事業報告と2013年度事業計画は掲載のとおりとなっておりますので、ぜひぜひご一読くださり、私たちとともに、ダイバーシティ・アクションしてまいりましょう!
http://diversity-toyama.org/?p=838
今年度も多様なことにチャレンジしていきます!
今年はダイバーシティ・ドリプラ、ダイバーシティ・サバイバルキャンプなど、新たな取り組みもありますので、ぜひご参加ください!
総会にご参加くださった田畑裕明衆議院議員、ダイバーシティの必要性を言ってくださいました。
そしていつもダイバーシティ富山を応援してくださる平木柳太郎県議会議員
お二人とも公務ご多端な中、本当にありがとうございました。
第2部では、”多様性と対立”というテーマでワークショップを行いました。
「Ligut It Up Blue2013&ワークショップ@世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落」開催のご報告
2013年4月2日。
世界自閉症啓発デーに合わせて今年も世界遺産五箇山菅沼集落をブルーにライトアップしました。
今年もまた集落一体が幻想的な優しい青の光に包まれました。
今回は夜だけではなく、日中からイベントを開催。その名も「五箇山みんなで赤かぶ掘り大会」
こちらは上平赤かぶ生産組合が主催、ダイバーシティとやま共催での開催でした。
雪の下にたくさんの赤かぶが残っていました。 こんなに美味しそうな赤かぶがたくさん!
赤かぶ掘りの後は参加者で地元のお母さんたちが作ってくださった赤かぶ料理尽くしに舌鼓。
本当に美味しかった!
この後こきりこ節を始めとする五箇山伝統民謡を踊ってとても盛り上がりました。
そしていよいよLight It Up Blueがはじまります。 ワークショップ会場の吾郎平さん
徐々に日が落ちてきた菅沼合掌集落
青の光が集落全体を優しく包みます。
すっかり暗くなると尚一層青が美しい。 ワークショップ会場の受付も青のキャンドルでお出迎え。
そしてワークショップ会場には、めひの野園の自閉症の方が描かれたこんな素適な絵も並べられました。
囲炉裏を囲んでのワークショップが始まりました。立っていらっしゃるのは吾郎平のご主人の中島さん。
そして向かって右が講師の社会福祉法人めひの野園うさか寮施設長の東 真盛(ひがし まもる)さん。
東さんの自閉症・発達障がいについてのお話に、みなさん惹きこまれていらっしゃいました。
自閉症の方が大好きだとおっしゃる東さんのお話から得るものは大きく、参加者のみなさんは見方を変えることの大切さを実感されたのでした。
そして最後はGet in touchのみなさんが東京タワーで使われた同じ青いキャンドルでキャンドル・リレーを行いました。
「ひとりの夢はただの夢。だけど、みんなで見る夢は現実になる。」
自閉症啓発大使のオノ・ヨーコさんの言葉の通り、たくさんの人の想いが集まればきっと世界は変わる!
本当に素適であたたかい時間を過ごすことができました。
そして、Ligut It Up Blue2013&ワークショップ@世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落を開催するにあたってご協力いただいたたくさんのみなさんに心から感謝しています。
Special Thanks
越中五箇山菅沼集落保存顕正会のみなさん、
今年も快く講師を引き受けてくださった東さん、
赤かぶ掘り大会の企画運営他全面的に協力してくれた荒井さん、会場を提供してくださった中島さん、
素適なポスターを作ってくれたヤマシナ印刷の山科さん、
カメラと全国版のLight It Up Blue JapanのFBページ立ちあげで大活躍の夢響村塾の上野さん、
いい写真をたくさん撮ってくれたハッピーモスの池田さん、
駐車場係や受付で活躍してくれたNPO法人とやま地域福祉ネットワークの石川さん、田村さん、
花椿かがやきの長岡さん、ひとのまの宮田さん
ご後援いただいた
富山県、 南砺市、 富山県自閉症協会さま
ご協賛いただいた
(株)ウエルネスサプライ、 NPO法人真おやじ塾、 (株)丸八ホールディングス
(株)タービンインタラクティブ、 アルカスコーポレーション(株)、 四国管財(株)
アリエス美容室、 (有)中野工業、 森本自動車(有)さま
そして当日五箇山まで足を運んでいただいたみなさま
本当にありがとうございました。
どうぞまた来年の4月2日、五箇山菅沼でお会い出来ますよう
NGOダイバーシティとやま代表 宮田妙子
「習慣術セミナー」開催のご報告
3月6日(水)に「子育てに悩んでいる全ての方におくる習慣術セミナー」を開催しました。
講師は「誰でもできることを、誰にもできないくらい徹底的にやると奇跡が起きる!」
それを実践していらっしゃるナニワのメンター
年間3000人以上の人にセミナーを行い、そのセミナー
平日の日中の開催、しかも告知が直前だったのですが、ナニメンさんのセミナーをぜひ受講したいというお母さん方が受講してくださいました。
今回は託児付きということで、可愛い1歳児の女の子のお母さんを始め、小学生のお母さん、中学生、高校生のお母さんと、それぞれの年代での悩みを持つ方が参加されました。
ナニメンさんは、子どものことを徹底的に信じきる親であることの大切さをおっしゃってくださいました。
子育ては応援そのものだということ。
一見どんなに不可能なことに思えても、絶対に無理だと言ってはいけないこと。
親はいろいろな経験値があるから、つい子どもの行動に口を挟みたくなってしまう。
そんなこと絶対に無理だと、子どもの夢泥棒になってしまう。
でも、大事なのは親であるという覚悟なのです。
そして、もし子どもが失敗したとしても絶対に言ってはいけない言葉があります。
それは「だから言ったでしょ!」
そう言ってしまうとそれは本当に失敗になってしまう。
どんな時でも子どもを信じて、絶対に応援するというスタンスをとっていれば
そういう言葉は自ずと出なくなるものだと、力強くおっしゃってくださいました。
「勉強しなさい」と言ってしまうのも、子どもを信じていないから。
勉強しなさい、というより、「あなたはできるよ。信じているよ」の方が
はるかに子どもは勉強するようになるものだと。
そして、何より夫婦が仲が良くて尊敬し合っていることが大切だともおっしゃってくださいました。
一番よくないのは、子どもたちの前で夫婦ケンカしたり、お互いの悪口を言い合ったりすること。
お互いの悪口を子どもの前で言っているくらいなら、一人親でも悪口を言わない親の方がずっといいと。
そして、手を出さずに待つことの大切さも教えていただきました。
朝、忙しいとついつい親はなんでもやってしまうけれどそれだと
「あ、お母さんは何でもやってくれるんだ」
と脳にインプットされてしまう。そうすると、自分でやらなくなってしまうのだと。
自立を促すことも親の大事な務めです。
そして、親が自ら率先することは、挨拶、靴をそろえる、良い姿勢で座る。
早起きの習慣をつけることも大事です。そうすれば朝時間がないからといって
親が手を出してしまうこともなくなるからです。
それから家庭で不足しているのは未来の話。
例えば行きたい学校が決まっている場合は、その学校の前で写真を撮るだけでも有効です。
未来のアルバムを作って、脳にその状態をインプットするのです。
思えたことは実現するものです。
難しいのは夢が実現する、と思うこと(ここ大事です)
無理なんじゃないかなぁと思っていると無理になる。
絶対できると信じ込めたら絶対できるのだと。
またそんな~と思われるかもしれませんが、実際にそうなのです。
実際にナニメンさんが指導されている全国トップクラスのジュニアスポーツ選手のご家庭でのお話を例に挙げてくださいました。
その子は、実力は誰よりも持っているはずでしたが、なぜか大事な場面では失敗ばかりしてしまいます。
そこで、ナニメンさんはご家庭での出力を徹底的に変えてもらいました。
子どもに声かけする時は、「大丈夫か?」ではなく、
「今度の試合で何点とるの?(ワクワクな感じで)」
「今度こそ失敗しちゃだめよ」ではなく、
「信じているよ。あなたなら大丈夫(^^)」
そうやって家庭での親の言葉かけを変えただけで、子どもたちは実力を充分に発揮できるようになるのだと。
ナニメンさんは、弱小チームをトップレベルのチームに変えることもたくさん手がけていらっしゃいます。
そんな時に大事なのは、目標は高く設定すること。
県で一番になりたい、と思ったらそのレベルの練習しかしない。
でも日本一になるんだと思えば、自ずと練習の質も変わってくるのだそうです。
つまり、全ては自分たちの脳が決めているのです。
逆に、子どもたちのやる気を一瞬でなくさせる言葉があります。
「大変、難しい、できない、最悪、どうせ無理」
この5つは絶対に禁句です。
親がこの言葉を絶対に使わないと決め、そして子どものことを信じきると決めたら
きっと子どもたちは最高の笑顔を見せてくれるようになるでしょう。
そんな子どもたちの笑顔、それが親にとっては一番の宝物にちがいない、
そういうことを感じて心が温かくなったセミナーでした。
もっといろいろ素適なお話もあったのですが、それは今度ぜひナニメンさんの
お話を直接お聞きになってみてください。
感動の涙で心がとっても軽やかになること間違いなしです。
「できることもちよりワークショップ」開催のご報告
2013年2月23日に、「できることもちよりワークショップ」を開催しました。
今回のワークショップは、勉強会という位置づけで、オープン参加の呼びかけは行わない形での開催としました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。また、今回、お声をかけることができなかったみなさま、この場を借りてお詫び申しあげます。
さて、「できることもちよりワークショップ」とは、一般社団法人草の根ささえあいプロジェクト(草P)が主催している活動のひとつで、地域のさまざまな分野で支援活動を展開しているNPO、行政、企業、個人などの出会い、つながりの場をつくるワークショップです。このワークショップで生まれたネットワークを基盤に、地域の具体的な困りごとを解決するプロジェクトチームの立ち上げから、プロジェクトが地域に出て問題解決にチャレンジするところまでをサポートする試みを企画・運営しているものです。
ダイバーシティとやまでは、2012年1月に愛知県で開催された「ふわりんクルージョンセッション」に宮田が参加し、こうしたセッションを富山でも実現したいとの想いから、まずは勉強会の形でスタートしたものです。
(ふわりんクルージョン紹介のページ)
(http://grassroots.jpn.com/?page_id=65)
今回は、草Pのカイパパさんを講師に迎え、16人の参加者によるワークショップと講義・質疑を開催しました。今回の勉強会の参加者は、具体的な支援活動を行っている方たちで、ワークショップでは異様な盛り上がりを見せ,カイパパさんも驚愕される場面がありました。「富山はスゴイ・・・」と。
質疑では、ネットワーク形成の難しさについて会場内で共通され、ワークショップによる手法も有効であるものの、その後、実際に具体化して機能していくまでにネットワーク化を進めること、また進んでいくことは、別のフェーズに移行していくことだとの認識も共有しました。こうした質疑の最後に、参加者のYさんが仰った一言が、参加者の心に深く深く突き刺さりました。みなさま、覚悟を決めてまいりましょう!
草Pのカイパパ、とても素晴らしいワークショップ&舞台裏話付きのご講演、本当にありがとうございました。
2012多文化共生講演会[にしゃんたさん]が開催されました。
12月23日に「違いを楽しみ、力に変える~多文化共生“新”時代~ 」と題して、
羽衣国際大学准教授のにしゃんたさんによる講演会が開催されました。
講演会のあとには、ダイバーシティとやま主催によるワールドカフェで、参加者同士が「外国人にも日本人にも暮らしやすい地域づくり」について対話を深めました。
ダイバーシティ・サポーター養成講座&ISO26000セミナー写真集
10月27日から11月25日にかけて行ったダイバーシティ・サポーター養成講座の様子を
写真でご報告します!
2012/10/27
【第1回(概論)「人口減少社会を迎え、人的多様性配慮型社会に求められる人材とは」講師:一般財団法人ダイバーシティ研究所 客員研究員 柴垣 禎さん】
養成講座の後半は、ワークショップです。
2012/11/10
【第2回(各論①)「障害福祉とソーシャルインクルージョン」講師:めひの野園うさか寮施設長 東 真盛さん/「各論②「外国人をめぐる諸制度と多文化共生」講師:富山県国際・日本海政策課国際協力係長 山元 真弓さん】
ワークショップは、グループワークにより、参加者が属する企業活動をダイバーシティ化し、グループ単位で発表を行いました。
2012/11/17
【第3回(実践事例紹介)「ひとりひとりが輝ける組織づくりとは」講師:(株)ウエルネスサプライ代表取締役社長 代表取締役社長 薄井 修司さん】
ワークショップは、参加者が多様性に配慮した事業を起業化していくという課題に取り組み、グループ単位で発表を行いました。
2012/11/25
【第4回(ダイバーシティとやま設立1周年記念フォーラム)「ダイバーシティなくして地域社会の未来なし」講師:一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事 田村 太郎さん/「見方を味方に世界を変える」講師:大阪府立八尾北広報学校 家庭科教諭 南野 忠晴さん】
この日は会場から立山連峰もひときわきれいに見えました。そして後半は「ダイバーシティ・フューチャーセンター」と題したテーマのワークショップを開催し、2名の講師を交えた県内若手起業家等との対話を通じて、会場全体のグループワークにより、ダイバーシティが進展していること・進展していないことについて、未来志向のグループ発表を行いました。
最期にダイバーシティ・サポーター証を持って記念撮影です。
みなさんもぜひダイバーシティ・サポーターの輪に加わって、ダイバーシティ・アクションを起こしていってください。
そしてこちらは11月24日に開催したISO26000セミナーの様子
講師はダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎さん
こちらも富山初のISO26000セミナーとあって、とても有意義な時間になりました。
ダイバーシティ・サポーター養成講座の詳しい内容についてはこちらをご覧ください。
http://diversity-toyama.org/2012/11/
2012多文化共生講演会[姜尚中さん]のご報告
2012年12月15日。
ここ富山で新しい多文化共生の地平が切り拓かれました。
「姜尚中とともに考える多文化共生」
約500名の来場者とともに新しい時代の胎動を感じる講演会となりました。
姜さんから、穏やかでいて、凛としたお話をいただきました。
私たちの世界の国境は、または近代国家の”クニ”という概念は、わずか100~200年ほどの歴史の検証しか経ていないこと。それ以前は、もっと別の概念により自身の生まれや育ちなどに依拠していたものであること。それはすなわち、地域社会であり、地域の文化であり、食であり、酒であり、伝統工芸であり、祭りなど生きた文化、人との交流であるということ。
こうした地域に住む人間は、その地域内にしか存在しない文脈(コンテキスト)を持っているということです。同じ文脈の中で生きているので、多くを語らなくても意思疎通ができる。そうした心地良さの中に生きているということです。また別の言い方をすると、他の地域からみると、翻訳が必要な世界に生きているということになりますね。
異なる人・背景・文化との交流が人を成長させていく原動力ともなる。
私たちは、わずか100~200年の間に”クニ”というものを作り上げたが、同じ文脈に生きることに慣れ過ぎている。”クニ”というものは、果たして完成したものだろうか。私たちは、その”クニ”ができるまでは、様々な地域との軋轢や衝突を経験したはずである。
日本に生まれ、日本語を自由に操り、日本社会で当たり前のことを当たり前のように感じて生きているということは、ひとつの結果であり、日本社会が培ってきたもの、すなわち、私たちが日本社会のプロだという言い方も可能だろう。小学生の時から、文字を学び、歴史を学び、文化を学び、日本社会に生きる努力をし、トレーニングをしているからこそ、日本社会のプロになっているといえるのではないか。
ニューカマーと呼ばれる昨今の在住外国人に目を向けてみるとどうだろう。在住外国人は、日本社会においては、あるいは日本の文脈においては、プロという概念に照らしてみると、いわば学習途上のアマチュアともいえるのではないだろうか?日本に移り住み、もしくは日本に根付いて生きていこうとしている過程は、日本社会の文脈を学ぼうとしている、プロになろうとしているアマチュアに、その姿を重ねることはできはしないだろうか。
そして、プロはアマチュアと対峙することで、自らが、まだ、「途上の人」として学び続けなければならないことに気づくだろう。そして学ぶことを思い出すきっかけともなるだろう。大切なのは「気づき」を得ていくこと。
「途上の人」、人生の途上であるということは、すなわち「青春」であるともいえる。
同じように、私たちが多文化共生を考えるとき、それは青春の学びであり、「途上の人」という自覚であり、これから成熟していく過程であると捉えることが大切だろうということです。
講演会のあとには、「日曜美術館」での名コンビ再会となるNHK富山放送局の中條誠子さんとの対話となりました。ここでは、富山をフィールドのスポットにあててのお話となりました。
中條さんからは、富山に住む外国人からコメントとして、富山での生活や意見、富山の住みよさなどのご紹介があり、これに対して姜さんからの感想もいただきました。世界における多民族多文化の国家の状態と比較して、日本社会は多文化の受入に寛容ではないか、懐が深い多文化を許容する世界のどの国とも異なるポテンシャルがあるのではないか。とのことでした。
中條さんからは、同じく外国人からのコメントとして、私たちが忘れつつある富山の住みよさについて、外国人からの声のご紹介もありました。
最後に、姜さんは、数十年後を見据えた場合、歴史的背景や地政学的にも富山の立地は今後、環日本海の拠点となりうるだろうとのご意見でした。ダイバーシティ・多文化共生の拠点として、頑張っていきたいものです。
会場からの感想はとてもたくさんありましたが、姜さんの講演はもちろん、中條さんが富山のこと、富山の自然や生活に視点を置いて対談してくださったおかげで、姜さんのお話もよく理解でき、多文化共生が富山の未来の扉なのだと思いました、富山から発信しなくては!との感想もありました。中條さんにも感謝の言葉がございません!!!
姜さん、中條さん、本当にありがとうございました。
主催の富山県国際・日本海政策課のみなさまには、今回の講演会開催に際して、ダイバーシティとやまを協力団体としてくださったこと、有形無形のアドバイス、ご支援、とてもとても尽力いただきましたこと、感謝申しあげます。
あわせてダイバーシティとやま会員のみなさま、ドリプラ―なみなさまのご協力あっての賜物でした!大感謝!
舞台裏のことですが、姜さんは、講演前に、私にこう語ってくださいました。
「私たちは自己のうちに多様性を見出さなくてはならない。」と。
すなわち、ダイバーシティです。
文責:ダイバーシティとやま(柴垣)
ダイバーシティ・サポーター養成講座のご報告
ダイバーシティとやまでは、10月27日(土)から11月25日(日)にかけて、全4回で、「ダイバーシティ・サポーター養成講座」を開催しました。
各講座とも充実した内容で、毎回、受講生のみなさんとともに、新しい学びをいただきました。
毎回、3時間~4時間の濃密な内容でしたので、以下、ほんのエッセンスとなりますが、ご報告いたします。
2012/10/27
【第1回(概論)「人口減少社会を迎え、人的多様性配慮型社会に求められる人材とは」講師:一般財団法人ダイバーシティ研究所 客員研究員 柴垣 禎】
柴垣さんからは、現在、人口変動社会をはじめ、人口構造上の産業の衰退や、うつや自殺者の増加など、日本が直面している課題は数多く、極めて深刻な未来像しか描けていないことから、マイナス面をプラス面へと価値転換を図る見方をし、発想を転換して、ちがいを優位性として捉える必要性があるとの話をいただきました。
こうしたちがいを優位性と捉え、ダイバーシティを推進する取組みの必要性は政府(経済産業省)や経済界の一部ではすでに提言されてきているが、女性躍進などの一部のダイバーシティへの取組みが始まったばかりであり、今後、さらに面的な広がりのためには、ISO26000などの活用も必要とのことです。確かに!
さらに、企業や障害福祉の現場での取組み事例を紹介し、「ダイバーシティは決して難しいものではなく、誰もがダイバーシティへの取り組みに参加することができる。企業であっても本業を通じてダイバーシティへ取組むことにより、従業員のモチベーションの向上につながっている」と結ばれました。
養成講座の後半は、ワークショップが開催され、参加者全員で様々な多様性であるダイバーシティを洗い出し、後続のワークショップのための意識共有を行いました。
2012/11/10
【第2回(各論①)「障害福祉とソーシャルインクルージョン」講師:めひの野園うさか寮施設長 東 真盛/「各論②「外国人をめぐる諸制度と多文化共生」講師:富山県国際・日本海政策課国際協力係長 山元 真弓】
第2回は、めひの野園の東真盛うさか寮施設長から、障害福祉制度とソーシャルインクルージョンについて、富山県国際日本海政策課の山元真弓国際協力係長から、外国人をめぐる諸制度と多文化共生について、それぞれの分野の概論と現状について理解を深める講義がありました。
東さんからは、現在、日本政府は障害者権利条約批准に向けて、国内法の整備が進められているが、中でも、障害という考え方について、障害は人に起因するという医学モデルではなく、環境因子が障害を生む社会モデルの考え方を取り込んでいくことが大切な視点になるとのことだという話をいただきました。また、自閉症や発達障害の人は、他の人には見られない優れた点がいくつもあり、歴史上の様々な人、現代に活躍する人にも発達障害の人が多くいるとのことです。そして、これらの人が言うところでは、周囲の環境や人の理解があったからこそ、今の自分があるとのことです。なるほど!
発達障害の特長の特徴として、周囲から見えにくいまたは、まったく見えないということがあるため、周囲人の理解が必要になるとのことです。そして、こうした様々な特長を持った人たちが住みやすい社会を創っていく、すなわちソーシャルインクルージョンを進めることが、これからの社会に求められる鍵となるだろうとのことでした。
引き続き、山元さんからは、日本の地域に住む外国人について、国内の労働力不足を補う形で増加してきており、富山県においても外国人は20代~40代の働き盛りの労働力人口の層が多く占めている現状にあるという話をいただきました。このため、外国籍の子どもも多く、日本語指導が必要な生徒も数多くいるとのことです。そして、年を追って、中学生が占める割合も増加してきており、地域にとって、こうした子どもたちへの教育についても大きな課題があり、県の多文化共生の施策とひとつになっているとのこと。こうした在住外国人との共生が、将来の地域の活力の原動力になっていくとのことでした。なっとく!
また、韓国の多文化共生の現状が事例紹介としてあり、韓国は日本よりも多文化家族化が進展しており、それゆえに様々な課題が顕在化しているため、国家戦略として多文化共生を推進しているとのことでした。具体的な事例を通じて、韓国と日本との比較から見えてくる課題の違いに、これからの日本に求められる多文化共生の在り方も見えてくるようでした。
後半のワークショップは、グループワークにより、参加者が属する企業活動をダイバーシティ化し、グループ単位で発表を行いました。実社会をダイバーシティ化するという作業を通じて、さまざまな視点が提示されました。
2012/11/17
【第3回(実践事例紹介)「ひとりひとりが輝ける組織づくりとは」講師:(株)ウエルネスサプライ代表取締役社長 代表取締役社長 薄井 修司】
薄井さんからは、組織の構成員のひとりひとりが輝いていくためには、経営者が熱い想いを持っていること、そして、その想いを100%伝えきる努力をしていくことが大切だという話をいただきました。「同じ人間はいないのだから、相手に80%も伝わればいいだろう」という思いをもって接していると、経営者の思いがお客様に届くまで、部下の人数分だけ「80%×80%×・・・・」という計算式が続き、お客様に届く前に25%ほどにも落ちてしまうとのことです。なんてこと・・・!
薄井さんは、阪神淡路大震災をはじめ、さまざまな困難に直面しますが、従来型の組織運営ではなく、お客様が施設を気持ちよく楽しみたいという気持ちと、運営スタッフがお客様へと喜びを届けたいという気持ちとをマッチングしていくためには、どういうやり方ができるのか?という視点で、一貫して組織運営を行います。
「社員のやる気を引き出す」
この言葉は、何回も何十回も聞いたことがあるフレーズだと思います。しかし、薄井氏が実践してきた手法は、誰もが経験したことがあるにも関わらず、会社内では経験したことがないことを会社内に取り込み、会社が大家族化していくという手法でした。ひとりひとり、バックボーンが異なる社員が、ひとつの家族のように想いを共有化していく。これこそ、ダイバーシティのひとつの到達点といえるでしょう。
養成講座の後半のワークショップは、参加者が多様性に配慮した事業を起業化していくという課題に取り組み、グループ単位で発表を行いました。
短い時間にも関わらず、とても素晴らしいプレゼンでした。
2012/11/25
【第4回(ダイバーシティとやま設立1周年記念フォーラム)「ダイバーシティなくして地域社会の未来なし」講師:一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事 田村 太郎/「見方を味方に世界を変える」講師:大阪府立八尾北広報学校 家庭科教諭 南野 忠晴】
第4回となる講座は、団体設立1周年記念フォーラムとして併催し、一般財団法人ダイバーシティ研究所の田村太郎代表理事から地域社会の生き残りのためにダイバーシティの視点が不可欠であるということと、大阪府八尾北高等学校の南野忠晴教諭から、ダイバーシティの推進のためには、一人一人の個人が多様性を持つダイバーシティの一員であるという自覚が必要という話をいただきました。
田村さんからは、現在、日本や世界は人口変動社会を迎え、労働者人口の減少に直面していることから、これまでの社会保障制度や経済の仕組みが維持できなくなると予測され、地域社会の衰退を回避するためには、これまで必ずしも十分に活用されてこなかった人材ともいえる女性や障害者、外国人といった様々な個性を活かしていくための社会づくり、すなわち、ダイバーシティに配慮した社会づくりが必要であるとの話をいただきました。
2010年に発行されたISO26000では、持続可能な社会のための国際ルールとしてのガイドラインが示され、これを遵守していくことが、今後の地域社会を作っていくベースになるということです。ISO26000では、あらゆる主体が社会的責任(SR)を果たすことを必要とされるが、これはサプライチェーンにより、大企業のみならず、地域の中小企業にも求められることになるということです。そして、ISO2600が課題としているキーワードのほとんどがダイバーシティの視点から読み解くことができるものであるとのこと。ふむふむ、みんなが正直になっていくということですね!
このために、社会的マイノリティはもちろん、マジョリティも含めた社会全体で、多様な担い手が多様な働き方、生き方が実現できるように、社会全体を変えていく必要があるとのことでした。
南野さんからは、学校教育の現場から、単に正解を求めるだけでは人間を育てていくのは困難であり、生活力の向上が人間力を高めていくことだとのお話をいただきました。
南野先生は、多くの教科では、テストなどを通じて、不正解をなくしていく努力が行われ、大多数と同じ考え方をしていくためのトレーニングがなされているのではないかとの疑問を持ったとのことです。こうしたとき、「パンツの正しいたたみ方」に悩む男性教員に出会います。パンツのたたみ方には正解はないし、人それぞれの価値観やこれまでの生き方から導き出されたものであって、正解がない以上は、これは話し合って多様な価値観を認め合うしかないと気付いたとのことです。さらに、家事や洗濯は奥さん任せといった依存や支配の関係ではなく、互いの生活力を向上させ、互いに自立していくことが、真の共生関係を築いていくのではないかとのことです。自分自身の生活の中にダイバーシティを推進させる活路があったなんて!難問氷解です!!
こうして、多様な存在が、多様な生き方を実践し、ロールモデルとなっていくことで、自分自身が多様な存在の一部であり、自分の中の多様性を実現していくことになるとのことでした。とても味わい深く琴線に触れるお話でした。
講演の最後には、「天国での回想」として、ステキなお話もありましたが、あまりにステキなので、この話は南野さんから直接、お聞きくださいませ。
養成講座の後半は、ハワードさんのファシリによる本邦初公開の「ダイバーシティ・フューチャーセンター」と題したテーマのワークショップを開催し、2名の講師を交えた県内若手起業家等との対話を通じて、会場全体のグループワークにより、ダイバーシティが進展していること・進展していないことについて、未来志向のグループ発表を行いました。
今回の養成講座は4回シリーズで開催され、未来のステークホルダーとなる心強いサポーターが誕生しました。これからも、ダイバーシティとやまは、みなさんとともに、地域社会のダイバーシティの推進に、一層、尽力していきます。
「とやまのてっぺんでダイバーシティを考える夏期大学」のご報告
NGOダイバーシティとやまでは、9月16日、17日に「とやまのてっぺんでダイバーシティ
とやまを考える夏期大学」を開催しました。
ひょんな会話から企画が始まったこの夏期大学でしたが、期待以上の成果があったことを
ご報告いたします。
【企画のねらい①】
「富山県で一番標高の高い場所で考える」
物事は高い視点から俯瞰した方が、理解が進むことがよくあります。このため、肉体ごと
物理的に高い場所に移動して、日常生活の営みを眺めてみました。呉羽丘陵の山影に二分
される富山平野はもちろん、その向こうの氷見や能登半島まで、電球のひとつひとつが織
りなす夜景を一望することができました。
参加者ひとりひとりの胸の中に去来するものがたくさんありました。
【企画のねらい②】
「多様性を体感してみる」
多様性を体感するには、焦点を移動させることがポイントになります。焦点が移っていく
時には時間がかかるものですが、登山を通じて、その時間を疑似的にも体験することがで
きます。 大人になってみると、幼い時に拘っていた小さなちがいというものが、いかに些細なもの
であるか、振り返ってみるとよく理解できます。山頂から平野部を眺めてみると、いかに
些細な出来事に毎日心を悩ませているのか、よく理解できます。 その一方で、ひとつひとつが輝き、全体が調和した美しさを創造していくためには、個々
の多様性が必要不可欠であることが実感できます。
参加者ひとりひとりの笑顔の輝きに多様性を実感できました。
【企画のねらい③】
「新月の夜に満点の星空を眺める」
人は光ばかりを求めがちです。栄光や美しさ、大きさや影響力など。光があるものにばか
り目を奪われがちですが、果たして明るければ、それでいいのでしょうか。 満月の美しさは花鳥風月さまざまな言葉がありますが、新月の本当の美しさはなかなか体
験できません。光がなければ輝くものが見えてくる。数々の小さな光が集まり、光の渦、
川となる光の運行が見えてくる。 それぞれの固有の光があり、それぞれに素晴らしい存在であることを新月は教えてくれま
す。
新月は、そんな参加者ひとりひとりの心を照らしてくれました。
【企画を超えた成果①】
「超ラッキーの連続」
自分が初めて立山に登ったの時に、先輩にこう言われました。「初めて登る立山が快晴だっ
たのは、立山に好かれて証拠だな」と。今回の参加者すべてが立山に好かれているのだと
実感しました。
晴天はもちろん、上へ下へとガスや霞が乱高下する強風あり、ブロッケン現象あり、刻々
と藍色に深まる夕闇あり、黄金色に輝く夕焼けあり、神々しい雲上の世界あり、急峻にそ
びえ立つ厳しい峰々あり、満点の星空と富山平野の夜景あり、茜さす東雲の萌え立つ朝日
あり、そして雷鳥さんのご登場。これを超ラッキーの連続と言わずして、なんと呼びましょ
う。 【企画を超えた成果②】 「スーパーナビゲーター上野氏」 今回の企画全体のコーディネートはもちろん、裏方、ガイド役、すべてにおいて、上野さ
んの尽力なくしては実現できませんでした。 出発前の準備段階でのアドバイスはもちろん、立山駅時出発から帰路までの名ガイド、室
堂出発時には玉殿の湧水での水分補給のアナウンス、一の越山荘ではお味噌汁のサービス
(参加者全員分の水を上野さんが担ぎ上げ、上野さんが持参したコッヘル、カップ、スプ
ーンなどでの振る舞い)、高山病への細やかな気配り、なかなか聞くことができない山岳
警備隊のお話、そして、私たち全員の心に残る数々の写真。 毎瞬毎瞬、私たちに常に素晴らしい瞬間を、わかりやすい解説、温かい言葉で私たちに届
けてくださいました。
本当にありがとうございました。
【企画を超えた成果③】
「ステキな参加者のみなさま」
今回は、参加者のおひとりおひとりと、言葉を交わすことができ、また触れ合う距離での
夏期大学でしたので、本当に充実した時間を共にすることができました。 暑い残暑の続く中、汗を流し、心臓も破れんばかりの標高差を踏破し、大汝休憩所の温か
な主人に迎えられ、雄山~大汝からの数々のステキなプレゼントを身に抱き、山小屋の中
で温かなストーブの暖と美味しい食事、濱谷さんの優しいサンレレの音色と歌声に包まれ
ました。おひとりおひとりの言葉は、音色とともに消えていってしまうものですが、参加
者の心にしっかりと根付いたのではないかなと思っています。 ステキな参加者のみなさま、本当にありがとうございました。 また次回、みなさまとの再会を楽しみにしております☆« Older Entries Newer Entries »