1月, 2015年
ダイバーシティ・カフェvo.7 開催のご報告
12月22日(月)に、射水市太閤山コミュニティセンターで、第7回ダイバーシティ・カフェを開催しました。
今回の語り部は、脳性まひ・身体障がいの当事者やご家族同士の交流の会、歩む会代表の坪田佳奈さん。
佳奈さんのこれまでの歩みは、こちらのブログ記事もご覧ください。
ブログの中でも触れていますが、佳奈さんが生まれたときの体重は、わずか675g。
でも、自分が脳性まひであるということを知らずに成長してきました。
だからこそ、いろんな不自由があっても、それを努力で跳ね除けてくることができたのです。
「なんで私はこんなにがんばってもなかなかできないんだろう?」
こんな問いかけや、自分の中での葛藤もあったけれど、脳性まひのことは、意識的にシャットアウトしてきました。
けれど、自分が脳性まひであるということを受け止めざるを得ないときが来るのです。
先生に告知されたとき、それまでの自分の経験や出来事を思い返せば思い返すほど、思い当たることがあり過ぎる。
足が硬くなって変形し、身体中あちこち痛くなってきて、あるとき、障害者手帳を取りたいと、親に言いましたが、親は受け入れてくれませんでした。
じゃあ、自分でやるしかない。ひとのまの元島くんたちに背中を押してもらい、障害者手帳を取得しました。
そして、
「少しでもこの病気のことを知ってもらいたい」、
「障害があってもなくても無理をせずに自然体で生きていける社会にしていきたい」、
そう思って、歩む会を立ち上げたのでした。
歩む会のHPは、こちらです。
今回、佳奈さんがどういう思いで過ごしてきたか、本当に熱く語ってくださいました。
今までできていたことができなくなっていくことが不安でならない。そんなふうに、だんだん不自由になっていく体が受け入れられない。
脳性まひのことも受け入れられない。なにより、同情されるばかりなのが耐えられない。
でも、担当の先生のひとこと、
「君の体が変わっても、今まで通り何も変わらない」
このひとことが救いになって、佳奈さんは第一歩を踏み出すことができたのです。
完璧に受け入れることは無理だけど、体が変わっていく自分も認めてあげよう。受け止めてみよう。そうしないと前に進めない。
でも、富山には、気軽に話せる人も場所もありませんでした。病院の中にはあるけれど、病院の外にこそ必要じゃないか。
それに病院の中だけだと、どうしても被害者意識が強くなって、「これしてくれ」「あれしてくれ」という要求ばかりになってしまう。
それじゃあいけない。
開かれた場所や機会が欲しい。でも、ない。
ないなら自分で作ってしまおう。
こうした想いで設立したのが「歩む会」だったのです。
健常者と障害者が一緒に交流することで、お互いを知ることができる。障害者にとって、それは本当に大切なこと。
要求ばかりじゃいけないことに気づけるのも外の人と直接話せるから。
健常者にとっても、普段会うことが少ない脳性まひの人と会って話すことで、たくさんの気づきが生まれる。
ご飯を食べること、おしゃべりができること、歩けること、伝えることができること、字を書くこと・・・。
健常者にとって、当たり前のことができない人、子どもが大勢いる。
でも、脳性まひでも、おしゃべりをすることも、走ることもできる人だっていっぱいいる。
そういうことひとつひとつのことは、会って、聞いて、知る機会がないとわからない。
当たり前だと思うことは、当たり前ではなくて、すごいことなのだと気付くことができる。
それは、ダイバーシティを進めようとするときの大きな第一歩でもあります。
ずっと熱くしゃべり続けた佳奈さんが、最後に伝えてくれた想いは次のようなことでした。
10年後、20年後につながる未来のために、脳性まひのことをもっともっと知ってほしい。
一日でも早く治療法が見つかって、多くの命が救われるようになってほしい。
そのために私はずっと発信していきたい。
それは、私には「伝えることができる」から。
佳奈さんは、今度、手術を受けるとのことです。
退院したら、歩む会の活動に、もっともっと本腰を入れてやっていきたい。
そして、社会福祉士としても一歩を踏み出していきたい。
そんな佳奈さんの思いを共有できた2時間になりました。
佳奈さんは、これからもたくさんお話をしていきたいとのことなので、ぜひ、歩む会のホームページからコンタクトを取ってみてくださいね。