「多文化共生サポーター養成講座2013」開催結果のご報告

2013-08-25

ダイバーシティとやまでは、地域に根ざした活動として、外国籍の子どもたちのサ

ポート活動にも協力しています。
射水市立太閤山コミュニティセンターでは、2009年度から「多文化こどもサポート

センター(以下、センター)」が開設され、ブラジルやロシアをはじめ、たくさん

の国の子どもたちで、毎週、賑わっています。このセンターは、富山県、とやま国

際センター、射水市、射水市民国際交流協会などをはじめ、実に多くの方々が設立

に携わり、地域での多文化共生の活動の実践の場となっています。

 

現在では、太閤山地域振興会のみなさんが主体となってセンターを運営しており、

コミュニティセンターの地域活動、各種行事と、子どもたちが一緒になって楽しん

でいることも多くなってきました。
このため、センターと地域の人たちがふれあう機会も増えてきましたが、居場所と

してのセンター機能である勉強のお手伝いであったり、おしゃべりの相手であった

りという、ボランティア活動、すなわち人として、より多くの地域の人に関わって

ほしいとの願いから、ダイバーシティとやまでは、「多文化共生サポーター養成講

座」を開催しました。多文化共生の地域づくりもダイバーシティとやまが目指す姿

のひとつです。

 

講座は4部構成となっており、それぞれに、座学とワークショップを交えた講座を

開催しましたので、ご報告いたします。

 

◇会場:射水市立太閤山コミュニティセンター(射水市太閤山8-4-1)
◇主催:NGOダイバーシティとやま/太閤山地域振興会
後援:射水市
◇プログラム
各回とも、講義(13:30-15:00)/ワークショップ(15:00-16:30)

 

☆第1回2013年7月13日(土)☆
「教えて!『日本に住む外国人の気持ち』」
【講師:(特活)多文化共生マネージャー全国協議会/事務局長/時 光氏】

異なる国を祖国に持つ外国人が、どんな理由から日本に住みたいと考え、日本での

生活をはじめてから、生活環境がどのように変わり、何を感じたのか。日本人社会

とのかかわりについて、中国出身の時さんからお話をいただきました。
全国各地でご活躍の時さんですが、今回は、他では聞くことができない「ここだけ

の話」として、等身大の時光さん個人のお話いただきたい。こうした依頼を事前に

お願いいたしました。わがままなオファーを快く引き受けてくださり、本当に感謝

しています。講義では、これまでの時さんの人生を振り返っていただき、笑いあり

、ときに怒りあり、胸が詰まり目頭が熱くなる場面もあり、本当に誠意あふれる真

心のこもったお話をいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

HP上では、ご報告するにも限りがあることをご容赦いただきたいのですが、時さ

んは、中国遼寧省のご出身で、日本に来てから、当初の頃は、感動と喜び、驚きの

連続の毎日だったのことです。「日本って、なんて素晴らしいんだ」という日々が

続いたとのことです。その後、年数が経つにつれて、徐々に日本社会で生きていく

ことの難しさに直面されたそうです。受講生には「そうか、自分もそういう状況に

置かれれば、そう行動するだろうな」との頷きもありました。
そして、日本社会において、中国人として生きていくことに目覚めたある出来事が

きっかけで、多文化共生社会の推進に尽力されることになったとのことです。そこ

には、ひとりひとりの日本人との、友人との大切な出会いがあり、そして母国であ

る中国と日本との関わりから見出したご自身のアイデンティティの確立も重要な役

割を果たしたそうです。

 

人が人として生きていくとき、出身国は確かに大きなバックボーンにはなりますが

、人が人と関わって生きていくときには、出身国よりも大切なものがたくさんある

のだという、生身のメッセージをいただくことができました。
話しにくいことも多々あったかと思いますが、時さんの誠意と多文化共生への情熱

に感動のひとときを持ちました。

 

 

☆第2回7月20日(土)☆
「そうなんだ!『富山県の多文化共生の現状』」
【講師:富山県国際・日本海政策課/国際協力係長/山元 真弓氏】

富山県多文化共生推進プランから、富山に住む外国人の現状や、県や関係団体の関

連施策について、山元さんからお話をいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

第1回の講義の、ひとりの外国人の背景や気持ちを踏まえ、では、そうした外国人

が、一体、どのくらい富山県内に住んでいるのか、年齢や性別は、そして生活の目

的(在留資格)は何かといった総論を、山元さんから、統計データやグラフなどを

用いて、わかりやすくお話をいただきました。
ひとことで、統計データと言っても、かなり広範囲に及んでいます。市町村別、国

籍別、年齢別、性別にはじまり、国際結婚の状況、就業の状況、日本語の必要なこ

どもたち、留学生たちの国籍などなど。日本には、富山には、実に様々な外国人が

いることに納得です。

 

そして、そこから多文化共生の必要性に進展していきます。古くは1955年の姉妹都

市提携から始まる国際交流の流れ、1970年代にはじまるNGOの国際協力活動、そし

て1995年の阪神淡路大震災を契機として多文化共生へとつながっていきます。これ

に呼応する形で国や地方においても様々な取り組みが進められ、富山県においても

2007年に「富山県多文化共生推進プラン」が策定されました。
以後、2008年のリーマンショックを迎え、国において、日系人の就労支援を行うな

ど、外国人が日本社会にとって必要不可欠な存在であるということが認識されてき

たということです。
そして、富山県内においても、外国人は一時的な滞在者ではなく、富山に住み続け

ることを選択した人たちだということが理解され始めてきているということでした

。こうしたことから、県では、地域に根差した多文化共生づくりを推進していると

のことでした。
行政の多文化共生への取り組みを総括してお聞きする貴重な機会となりました。ま

た、山元さんは、韓国での生活の経験も長く、ひとことひとことに重みがあり、大

変、有意義な講座となりました。ワークショップでもそうしたお話もたくさんお聞

きすることができ、韓国での多文化共生、日本での多文化共生の両面から眺めると

いう「制度」、「人」、「文化」など、さまざまなファクターが絡み合う多文化共

生を感じ取ることができました。

 

 

☆第3回8月3日(土)☆
【聞いて!「多文化こどもサポートセンターの活動から」】
【講師:(公財)とやま国際センター/国際交流係長/中村 則明氏】

 

現在、太閤山コミュニティセンターで運営されている「多文化こどもサポートセン

ター」。このセンターは、中村さんの熱い想いが現実化したものですが、中村さん

から「国際交流、国際協力、そして多文化共生~国際交流 現在、過去、未来~」

と題して、お話をいただきました。中村さんは、まさに国際交流から国際協力、そ

して多文化共生の流れを人生として体現されており、中村さんの目に映ってきたも

の、その眼差しが見据えているものは何なのか、その人生を振り返ることで、現在

の日本社会に必要な多文化共生について、想いを伝えていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なかなかHP上ではお伝えしきれない部分はあるのですが、中村さんは青年海外協

力隊として、アフリカのガーナへの赴任経験があるとのことです。そして、2度の

アフリカでの訪問で、ガーナの人々や子どもたちと出会ったことで、大きな財産を

得たということです。青年海外協力隊として、赴任したわけですが、ガーナの人た

ちは大変大きな贈り物を中村さんに与えてくれたという感動的な話がありました。
また、日本で、国際交流活動や協力活動といった業務に従事する中、そして、プラ

イベートの生活の中でも、外国人にまつわる感動的なエピソードをたくさん、ご紹

介してくださいました。
私たちが生きていくということは、どういうことだろうか?
こうした、ある種の根源的な問いかけに対し、大きなヒントになったのが、外国人

との関わりの中にあったとのことでした。
そして、長く国際協力の現場にいる中で、多文化共生に出会います。いわく「多文

化共生に出会ったことで、とても肩の力が抜けた」ということです。国際協力も多

文化共生も同じフレームの中で捉えることができる。そのキーワードは「地域づく

り」にあるとのことです。それぞれのノウハウを活かし合えるじゃないか、と気付

かれたとのことです。
こうしたことから、富山で、射水で、何かできないかと考えたときに、ひとりの友

人の言葉がきっかけで、「多文化こどもサポートセンター」の設立へと動き出した

とのことです。
ひとりの想いが世界を変えていく。こうした大切なメッセージを中村さんからいた

だいた講義となりました。

 

 

☆第4回8月9日(金)☆
【やってみよう!「体験サポートセンター」】

射水市立太閤山小学校で、外国籍の子どもたちの夏休みの宿題のお手伝いを実際に

体験してみようということで、太閤山小学校の協力のもと、学校の一室を借りての

企画!でしたが、肝心の子どもたち、その保護者のみなさんとのご予定が合わなか

ったのか、たくさんの子どもたちが宿題を持って押しかけてくるということにはな

りませんでした。
とはいうものの、毎週、土曜日には太閤山コミュニティセンターで、にぎやかな声

が飛び交っていますので、今回、養成講座の受講の有無に関わらず、ぜひ、一度、

のぞいてみてください。
多文化共生って、高尚なものであったり、崇高な概念ではなく、こんな身近なこと

なんだなって、きっと、納得していただけると思いますよ。

 

さて、各回のワークショップは、参加者のみなさんの意識がとても高く、グループ

ワークは非常に深い話で盛り上がりました。鋭い意見も多くあり、しかも、その意

見に対立するのではなく、そうした意見も多角的な視点で包み込み、あたかもグル

ープのメンバーひとりひとりが、このグループ内で多文化共生社会を構築していっ

ているような印象を抱きました。
そして、各回ともに、講師の方々にもグループワークに加わっていただき、実りあ

る建設的な話し合いの場を持つことができました。本当に感謝☆です。
今後は、こうしたグループワークの輪の広がりを、地域社会に根差したものとして

いけるよう、仕組みづくりにも取組んでいかなければならないと感じたワークショ

ップでした。

 

そして、余談になりますが、今回の養成講座の主催者、各回の講師、ファシリテー

ターすべてが期せずして「多文化共生マネージャー(自治体国際化協会認定資格者

)」であったことも、ご報告しておきます(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タブマネの面々です(^^)



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