7月, 2014年
「自治体国際化フォーラムAug.2014」に掲載されました。
一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)が発行する機関紙「自治体国際化フォーラム」に、団体活動が掲載されました。
コンパクトにまとまった記事ですので、当団体の活動内容を知りたい方は、まずは、こちらからお読みいただくとよいかと思います。
以下は、記事の転載分です。
掲載元アドレスは、(http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_298/16_closeup.pdf)となっています。
クローズアップNGO・NPO
NGOダイバーシティとやま
宮田 妙子/ 柴垣 禎
地域が輝くダイバーシティ
What’s Diversity?
「ダイバーシティってなんですか?」
この問いかけ、ダイバーシティとやまの設立以来、私たちは、幾度となく耳にしています。そう、この問いかけがある限り、私たちは、永続的に活動を続けていく使命を持っていると思っています。
私たちは、ダイバーシティとは人の多様性と、それを活かしていく地域づくりだと考えています。人は一人として同じ人がいません。かけがえのない個性。こういうと、当たり前のように聞こえますが、この違いが社会を閉塞させる原因にもなっていると考えています。
差別や偏見、これが生まれる原因はどこにあるのでしょうか?違いがあるから、差別や偏見が生まれる、そう考える人も多いかもしれません。では、かけがえのない個性から差別や偏見が生まれるのでしょうか?私たちは、そうは考えていません。それは一人ひとりの心の中から生まれるものであり、その多くは固定観念や不寛容な社会が生み出すものだとも考えています。
世界が変わる第一歩
「障害がある人=生きづらい人」というモノの見方があります。障害によって日常生活に不便さを感じている人がいることは事実です。しかし、この不便さを生み出している原因を、人ではなく社会の側にあるという考え方、すなわち「医療モデル」から「社会モデル」への変換が、その第一歩になると考えています。
車椅子を利用する人にとっては、階段があることや店舗内の通路が狭いなどにより、生活に不便さを感じることがあります。足に不自由があるから、不便さを感じる。これが医療モデルです。そうではなく、段差を解消し、通路も広く通りやすい環境づくりをすることで、障害を感じなくさせること。これが社会モデルであり、この一歩が大きな一歩になると考えています。
その次に、その「ちがい」を積極的に評価する。むしろ「ちがい」があることで優位性が生まれると見方を転換していくことで、これまで見えなかった世界が光り輝いてくるのです。
「ちがい」が発揮するパワー
さて、こうした「ちがい」とは無尽蔵にあるものですが、少しだけ具体的に考えてみましょう。
例えば、統計的には大半の家庭の財布を握っているのは女性です。となると、女性が「いいな」と思う商品と、そうでない商品とでは、おのずと売れ行きが変わるでしょう。では、女性にとって魅力的な商品づくりのためにはどうすればよいでしょうか?答えは簡単です。商品の企画から販売まで、女性の視点を入れることです。製造ラインに取り入れることも必要でしょう。
例えば、身体障害のある人は、ひとりで住んでいるでしょうか?その多くは、家族と共に生活しており、その家族が共通して持っている潜在的なニーズがあるでしょう。これを市場に還元するには、当事者や家族の社会参画が必須条件になります。こうした「ちがい」を社会が取り込んでいく、包摂していくことで、誰もが暮らしやすい地域社会へと変わっていけるのです。
「ちがい」を持った個性が社会で力を発揮するということは、支えられながら生きていくことではなく、この「ちがい」があるからこそ活かせる場に参画していくということです。
ここに住む人の全員が主役
私たちは、ダイバーシティの理念の普及啓発に努めていますが、地域に密着したフィールドを持ってこそ、最大の効果を発揮すると考えています。
企業や行政に取り組んでいただきたいのはもちろんのことなので、たくさんの地元企業からの協賛・ご協力をいただき、また自治体との協働やほかのNPO、NGOとの連携も積極的に行っています。それぞれの長所を活かした連携こそが、ダイバーシティの醍醐味であるとも言えるでしょう。
えっ!そんなことを?
「とやまのてっぺんでダイバーシティを考える夏期大学」、「ダイバーシティ・サバイバル・キャンプ」、「ダイバーシティ・ドリームプランプレゼンテーション」、「世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落ブルーライトアップ」、「ちがいを活かす多文化共生」など、聞くだけでワクワクするような企画をたくさん実施しています。
「とやまのてっぺんでダイバーシティを考える夏期大学」では、富山で最も標高の高い立山山頂で1泊2日の宿泊登山をします。新月の夜に、満天に輝く星空のもと、富山平野に広がる夜景を見ていると、本当に小さな違いにクヨクヨしている自分を発見します。小さな違いに囚われていては、「ちがい」を活かすことができません。大きな視点で、物事を相対化して捉える。こんな気付きも生まれます。
「ダイバーシティ・サバイバル・キャンプ」は、ほぼ自給自足、水は山からの湧き水、電気は小型水力発電で賄っているフィールドでのキャンプです。食器づくりに始まりヤギの乳搾り、生きている鶏を捌いてのハラール・カレーを食べるキャンプでは、生物多様性も人の多様性も等しく大切なものだと実感します。
「ちがい」があるからこそ発揮できる未来の夢へのプレゼンテーションでは、その「ちがい」があるからこそ描ける圧倒的な感動に涙します。
詳しくは、私たちのホームページにありますが、どの企画事業も富山というフィールドを大切にし、さまざまな「ちがい」を持つ地域の人たちが主役になっていくことを第一に、これからも応援していきます。
NGOダイバーシティとやま
〒939-0362 富山県射水市太閤山7の25
E-mail:diversity.t@gmail.com
ホームページ:http://diversity-toyama.org/
ブログ:http://blog.canpan.info/diversityt/
ダイバーシティ・凸凹・キャンプin島尾海岸~みんな ちごとるがで いいがやちゃ~開催のお知らせ
夏休み最後の週末こそ、ちょっと、のんびりしたい。
ゆるっと集まり、ゆるっと解散。
当日の朝~午後は海水浴などを楽しみ、夕方から参加もOK。
日中は用事があるので、夜だけ参加もOK。
次の日、朝からお出かけがあるので、日帰り参加もOK。
参加の仕方も人それぞれ。
ゆるっとキャンプを楽しみましょう!
以下、チラシの内容です。
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ダイバーシティ・凸凹・キャンプin島尾海岸
「うちの子 フツーの子と ちょっこし 違うがでー」
「私 ひとりやったら キャンプに 連れてって あげられんし」
「発達障害やし」「外国人やし」「・・・やし」
でも、それって 変 じゃないですか?
みんな ちがうのだから、一人一人のちがい、
個性を もっともっと 楽しみましょう!
夏休みの 最後の週末 だからこそ、親子で、友達と一緒に、
いつもの 日常から離れた キャンプで 充電しましょう
■日 時:8月29日(金)~30日(土)
■場 所:氷見市島尾海岸キャンプ場
■内 容:集合(15時頃) → テント設営 → 食事づくり → バーベキュー → ワークショップ「なーん ちごとるがで いいが」→花火→就寝
朝食→テント撤去→解散(10時頃)
※空き時間は、適宜、海水浴など自由行動でお楽しみください。
※日帰り参加もOKです。
■参加料:大人4000円 子供2000円(食事代(夜・朝)、保険代)※日帰り参加も同料金です。
■定 員:20名(大人子ども含む。小学生以下のお子さんは保護者同伴でお願いします。)
■申込み:下記、フォーマットを記載のうえ、問合せ先までお申込みください。
■問合せ:柴垣まで(Tel:090-9440-6657 E-mail:shibagaki.tadashi@gmail.com)
■その他:今回のコーディネーターは、自前のゆるい副代表が務めます。
居心地の良い居酒屋風の雰囲気の中、まったりしたひとときを過ごしましょう。
■携行品
(任意)
レジャー用品(水着、水中メガネ、浮き輪、シュノーケルなど)、雨具、着替え、軍手、タオル、嗜好品、懐中電灯、自前のキャンプ用品(イス、パラソル、レジャーシート、ランタン、クーラーボックスなど)、虫除けスプレー他常備薬等
(こちらで用意)
食材、調味料、焼き網、食器、飲み物、薪・炭、新聞紙、キャンプ場に支払う経費(レンタルテント、バンガロー、レンタル布団、キャンプサイト料、駐車料)等
---申込みフォーマット---
◆参加者(全員分)
住所【 】氏名【 】年齢【 】宿泊【する・しない】
◆テント【持ち込む・現地でレンタル】
◆バンガロー【使用する・使用しない】
※女性や家族連れを優先します。
◆車の台数【 台、ナンバー 】
ダイバーシティ・カフェvol.2 開催のご報告
7月18日(金)に、射水市太閤山コミュニティセンターで、第2回ダイバーシティ・カフェを開催しました。
今回の語り部は、小矢部から世界を変えているELABOオーナー山科 森(やましな しげる)さん。
山科さんのことを書いたブログ記事はこちらになります。
「ダイバーシティとやま」な日々 今日の人.29 山科 森さん パート.1
「ダイバーシティとやま」な日々 今日の人.29 山科 森さん パート.2
さて、今回のダイバーシティ・カフェは、山科さんのオリジナリティ溢れる盛りだくさんの内容となりました。
まず、山科さんが取り出したのが、「教育勅語」。
正直なところ、教育勅語自体より、「教育勅語」という単語に対して、過敏に反応する人も多いかと思います。
なにしろ、終戦後、戦前教育を徹底的に批判する方も多く、そうした流れの代名詞的な存在ともいえるのが「教育勅語」。
しかし、内容を知らないどころか、読んだことさえないのに毛嫌いするのはいかがなものか。
というわけで、まずは般若心経の写経ならぬ、教育勅語の書写から始まった今回。
みんな真剣に書いています。
教育勅語は、こちらのサイトからダウンロードもできます。
書写で、心を鎮め、今の自分を見つめなおした後、今度はガラッと雰囲気が変わって、カミング・アウトTime!
まずは、ダイバーシティ研究所の田村太郎さんの記事「自分をカミング・アウトしよう」を読みました。
『大阪市人権だよりこころねっと summer No.21』 記事より抜粋
「ダイバーシティの第一歩は?
まずはいろんな生きにくさを抱えている人に気づくこと。気づくとこれまで見えなかったものが見えるようになってきます。「この人はそうなんだ」と理解して、「自分にも生きにくさあるよね」と思えるようになります。
実は誰でも「こういうことで悩んでいる」「自分はこういう人なんだ」と誰かに言いたいんです。それを言うと差別されたり、仲間はずれにされたりするんじゃないかと思って言えない人が多いと思います。ダイバーシティはそういうことがちゃんと言える社会です。そんな社会をつくるには、勇気がいるけど、まず自分からカミングアウトするということが大事だと思います。」
この記事を読んだ後、山科さんのカミングアウトが始まりました。
子どもの頃、親から「長男なんだから」と言われていたそうですが、それを町を治める男だと思い、「いつも近所の子のリーダーでいなければならない」と思っていたこと、それが小学校5年生の時にファミコンという強力なライバルが現れ、今まで一緒に遊んでいた子たちが、みんなゲームばかりするようになって、どうしたらいいんだ、と悩んでいたこと。
また、死が怖くなったものの、「ヒーローなら死なない」のだと思い、ヒーローになりたくなったこと。それが、手塚治虫の『火の鳥』を読んでから、「死は怖いものじゃない、ではどんな生き方がかっこいい生き方か」と、今度は、生き方に焦点を当てるようになっていったこと等など…
そんな山科さんのカミングアウトを聞いた後は、参加したみなさんが2人ずつペアになって、それぞれにカミングアウトを開始。
カミングアウトする機会ってなかなかないけれど、こういう時間は、とても大事なのだと感じたひと時でした。
そして、ここで終わらないのが山科さん。
なんと!次は、演劇が始まりました。
これまた戦前の尋常小学校の教科書に載っている『小さなネジ』という物語を、今回の参加者で演じるというもの。
小さなネジのお話は、簡単にいうと、自分はちっぱけで何の役にも立たない存在だと自己卑下していた小さなネジが、自分がいないと大事な懐中時計が動かないことを知り、実際に懐中時計に差し込まれたことで、この時計が再び動き始め、こんな小さな自分でも本当に役に立っているんだと満足する、というお話です。
現代版で言うと、『しょうぼうじどうしゃじぷた』みたいなお話。
さぁ、これをみんなで役を振り分けて即興で演じます。
みなさん、すっかり役になりきって、ホントに楽しそうでした。
身体を動かすことで見えてくることがある。この演劇は、もしかしたら続きがあるかもしれませんね。
こんな風に参加者をすっかり山科Worldに引き込んだ今回のダイバーシティ・カフェ。
最後に山科さんが言いました。
今はだんだん知っているコミュニティがなくなって、おせっかいができない時代になってきた。
昔の人が大事にしてきたもの、暗黙知が急速に失われている。
自分はこれからも地域に埋もれている小さな想いを発掘していきたい。
そして、ELABOを人が自然に集まる場所にして、暗黙知を大事にしていきたい、と。
これからもそんな素敵な山科さんから目が離せません♪
第3回のダイバーシティ・カフェは8月22日(金) 18時半~太閤山コミュニティセンターで開催します。
次回の語り部は植彩セラピストうえる 石黒 亨さんです。