活動報告
Light It Up Blue in Toyama2021開催のご報告
毎年4月2日は国連の定めた世界自閉症啓発デーです。この日は、癒し・希望・平穏 を表す「青」をシンボルカラーにして世界各地でイベントやライトアップなどが行われ ています。私たちも2012年より大勢の皆さんにご協力をいただき、世界文化遺産 五箇山菅沼合掌集落にてブルーライトアップやワークショップを 行い、自閉症を 身近に感じてもらえるようにと活動を続けてきました。
しかし、このコロナ禍に伴い、人の住む世界遺産五箇山菅沼でのライトアップは控えなければいけない状 況になりました。
せっかくのつながりを継続することは出来ないかと考え、今年はリモートでイベント開催しました!
10年目のLight It Up Blue in Toyama開催報告です。
今年のテーマはつなぐ、つながる A(Autism) to S(SDGs)
リモート中継ということで、中心はめひの野園のセンターから
富山県自閉症協会事務局長の東真盛さんが進行。
最初に新田富山県知事からのビデオメッセージをいただきました。
SDGsの推進!県民一人ひとりが輝ける多様性のある富山へ!
を掲げておられる新田知事がワンチーム富山県の思いをお話くださいました。
心強いメッセージありがとうございました!
これまでの9年間の開催の歩みをムービーにして振り返りました。
そして環水公園からほっぷの鈴木さんと富大水内ゼミの学生さん、富山城、富山市役所からヴィストの林原さん、クロスランドおやべから山科さんがブルーライトアップの様子を中継してくださいました。
福光美術館からは南砺市田中市長と南砺市政策参与で心療内科医の明橋大二さん、そして南砺市のスーパーウーマン高橋かずえさんが中継でメッセージを伝えてくださいました。
そして日本で最初にLIUBを開催された神戸からも中継がつながりました。
次にArt session in Nanto 「生の表現(Art・brut)」開催中の福光美術館からばーと◎とやまの米田昌弘さんに障害者アートの案内をしていただきました。
次はトークリレーです。
福光美術館から富山県自閉症協会副会長でもある富山大学水内先生と水内ゼミの皆さんから。
学生さんはクイズも出してくれました。
社会福祉法人みずき福祉会 町田福祉園ゼネラルマネージャー 阿部美樹雄さん。素敵なお話でした。
NPO法人工房あおの丘 西島亜希さん。いつも情熱的で素敵です。
コミュニティハウス「ひとのま」宮田隼さんとひとのまのみんな。
隼さんのあったかさが伝わります。
富山県自閉症協会会長で小児科医八木信一さんが締めでお話くださいました。
初のリモート開催でどうなることかと思いましたが、多少のハプニングはありつつも何とか終了。
とても素敵な時間になりました。
では、最後に今年のLIUBの素敵な写真をご覧ください。
写真は環水公園、富山城、富山市役所は上野さん、クロスランドおやべは山科さん、福光美術館は高田さんです。
福光美術館は川田真紀さんがブルーフィルムを貼ってくださいました。
今年もたくさんのボランティアスタッフの皆さんのおかげで出来上がった手作り感満載のイベントになりました。
来年は11年目。
コロナが収束していることを願う希望の青の光です。
ロックダウン中のネパールへの食糧支援
先月コロナでロックダウン中のネパールからメッセージがありました。
それは、富山の日本語学校の卒業生からのメッセージでした。
彼は現地で食料配布のボランティアをしているのですが、たくさんの人々に食料が届いておらず、ネパールは大変な状況だということでした。米や麺、油、塩、ビスケット、石鹸、マスクなどを配っているとのことでしたが、資金が不足しているとのことで、呼びかけたところ、1週間で102000円の寄付が集まり、それをネパールに送りました。
その後、届いたレポートです。
高岡法科大学主催「多文化共生シンポジウム~地域に根差した多文化共生を考える」登壇のご報告
2月15日(土)、高岡市のウイングウイング高岡にて、高岡法科大学主催「多文化共生シンポジウム~地域に根差した多文化共生を考える」が開催されました。
内容は、次のとおりです。
【第一部】13:00~
■基調講演1 「多文化共生への高岡市の取り組み(教育の観点から)」
高岡市教育委員会 教育長 米谷和也氏
■基調講演2 「外国人人材・多文化共生と地域創生(NGOからみた取組実態)」
NGOダイバーシティとやま代表 宮田妙子
■報告 「呉西地区における外国人受け入れ・多文化共生取組の検証」
高岡法科大学 法学部教授 八坂 徳明氏
【第二部】 15:00~
■パネルデスカッション 「呉西地区における外国人が住みやすく働きやすい環境とは」
コーディネーター 柴垣 禎 NGOダイバーシティとやま事務局長
パネリスト 木口 実 氏 富山日伯交流友の会会長
Nawab Ali Behlum氏 Welfare Social Society Toyama Japan
ダルマ ラマ 氏 富山ネパール文化交流協会会長
前田 啓子 氏 にほんご広場なんと代表
基調講演では、高岡市の米谷教育長から、高岡市の現状や多文化共生への取組だけでなく、もっと大きな世界的な潮流や課題などについてお話いただき、今、なぜ、教育の現場に多文化共生が必要になってきているのかということについて、お話いただきました。実直で真面目な語り口調から、将来展望についても憂慮されるところは多々あるものの、米谷さんのような方が教育長として現場を担っていることに、とても心強いものを感じました。
高岡法科大学からの報告としては、外国人住民に対するアンケートやインタビュー結果から、今、地域に必要なものは何か、多文化共生がどのような場面で求められているのか等といったことについて、報告がありました。若い学生のみなさんが地域に目を向けていくということ自体、とても貴重な取り組みではないかと思いました。
第2部のパネルディスカッションでは、長く呉西地域に居住しているパネラーのみなさんから忌憚のないご意見をたくさんいただき、多文化共生をはばむたくさんの要因について考えることができました。参加者のみなさんも「え?外国人というだけで、そんな不利益が起きているの?」と、認識を新たにでき、自身の地域でさまざまな人が暮らしやすい社会について考えることができたのではないかと思います。 また、そうした地域に住む外国人と生活レベルで向き合っている前田さんからのお話もとても貴重なご意見だったかと思います。
ダイバーシティとやまの活動は、多様な人々はもちろん、これまで多方面へ向けた活動を行ってきており、今回、あらためてみなさんに報告することで、「こういう活動もあるんですね」「実に多様かつ重層的な厚みのある活動ですね」「なにより難しくなく、ふだんの生活レベルで考えることができることが素晴らしいと思いましたよ」等等といったご意見もいただきました。
少しずつ浸透してきているダイバーシティ。これからの社会にますます必要になってくるダイバーシティ。 私たちは、その役割を少しだけ担わせていただけていること、そして、みなさんに、そうした活動を支えていただいていることに、とても感謝しております。
ひきつづき、NGOダイバーシティとやまをどうぞよろしくお願いいたします。
SDGsフォーラム2019にパネリストとして参加しました
2019年10月5日
富山環境フェアでSDGsフォーラムが開催され、パネリストの一人として参加しました。
ダイバーシティの視点はSDGs目標の10番「人や国の不平等をなくそう」、11番「住み続けるまちづくりを」
16番「平和と公正をすべての人に」に密接に関係しています。
フォーラムでは富山に住む外国の人たちの現状について、またちがいが地域の力になることをお話してきました。
この時の模様は富山シティFMでも11月に4回放送されます。
インターネットでも聴けるとのことですので、お時間のある方はぜひ。http://www.city-fm.co.jp/
ひとのま×ダイバーシティとやまコラボキャンプ2019開催のご報告
2019年9月15日~9月16日
3回目となるコミュニティハウスひとのまとのコラボキャンプを開催しました。
いつも何が飛び出すかわからないのがこのキャンプ。
めひの野園の飛騨牧場で育てている平飼いの飛騨地鶏を今年は二羽購入。
車の中でコッコッコと鳴いている鶏を捌かなきゃいけない、でも、私たちはいつも命をいただきながら生きていることを改めて感じることが出来る貴重な時間です。
ベトナムの留学生が捌いてくれるのですが、ひとのまの子どもたちは怖がることなく、いろいろ手伝っていました。
捌いた鶏は無駄に捨てる所はほとんどなくて、内臓もきれいに洗って料理に使いました。
こういう場面を見ると、食べ物を簡単に残したり捨てたりすることの方が、どれだけ残酷なことかわかります。
子どもの頃にこんな経験をすると、感謝していただくという気持ちが自然に育つのだろうなと実感します。ビュッフェレストランにばかり行っていると、決して育たないであろう感覚です。
BBQの後はみんなで温泉に入ったり、それぞれに遊んだり、ずっと話したり、特に何かプログラムがあるわけではないけれど、それが逆に心地よく、逆にいろいろ学びになる、そんな時間でした。
大人も子どもも楽しめた、いい時間になりました。
いつもご協力くださるめひの野園の東さん、そして、ひとのまの宮田隼さん、裏方の細々した仕事を一手に引き受けてくれた野崎さん、ホントにありがとうございました。
「外国人雇用ホントのところ Win-Winの関係になるためには?」を開催しました
2019年8月9日、ダイバーシティ研究所代表の田村太郎さんを講師にお迎えして、
「外国人雇用ホントのところWin-Winの関係になるためには?」を開催しました。
定員をオーバーするくらいの方がお越しくださり、みなさん食い入るように田村さんのお話を聞いていらっしゃいました。
田村さんからはまず日本で暮らす外国人の概要についてお話がありました。今、日本には約280万人の外国人住民がいて、国籍の多様化、在留資格の多様化、年代・世代の多様化という3つの多様化が進行していること、在留資格別に見ると、活動に制限がない在留資格が全体の6割を占めること、訪日外国人が大幅に増加しているが、その背景にはアジアの経済成長があること等をわかりやすく話していただきました。2018年の訪日外国人の年間旅行消費はなんと4兆5189億円。外国人観光客の利用で、鉄道やバス路線を維持できているところ、飲食店や小売店が存続しているところもたくさんあります。病院もそうです。これからは外国人の利用が見込めるような地域インフラを作ることが大切です。大学も高校を卒業したばかりの日本人だけをターゲットしていては、早晩立ちいかなくなるところが多い。高卒、社会人、そして留学生を3分の1ずつというポートフォリオを描いていった方がいい。
次は改正入管法の施行と政府の対応策についてのお話でした。在留資格「特定技能」が新設されたわけですが、受け入れ企業側は特定技能より技能実習生のビザを選んでいる状況。技能実習生は転職の自由はないのですが、特定技能ビザは同じ職種内なら転職することが可能なので、企業側が特定技能ビザにすることを渋っている状況があるのです。しかし、技能実習制度は世界の人権団体から非難されている制度なので、技能実習生を雇っているところで作った製品は使われなくなる可能性もあります。世界中の視線が集まる東京オリンピック・パラリンピックを来年に控えていることもあり、技能実習制度は長くは続かないと思っておいた方がいい。政府はこれまでの反省も踏まえ、2018年末に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を策定しました。これをやるかやらないかは自治体の判断ですが、生き残れる地域にするためにはいち早く動いた方がいい。例えば、今、ガス、水道、道路という私たちの生活に不可欠なインフラ整備を請け負ってくれる業者が圧倒的に足りていない。入札の不成立もとても多い。外国人労働者を受け入れたくても、中小企業が自前で日本語教育等をやるのは難しい。そこで、自治体や商工会議所等の大きな団体が日本語教育をはじめ外国人受け入れのための制度をきちんと整えれば、中小企業も外国人を雇いやすくなるし、外国人側にとっても、「あそこに行けば不安なく過ごせる」ということになる。外国人コミュニティの情報拡散力はすごいものがあります。地域の産業を守っていくためには、今すぐ動いた方がいい。特定技能ビザは転職の自由があるからこそ、外国人に選ばれる地域になればいいのです。
そして、これからの企業や地域に求められる取り組みとして、全国の成功事例もお話いただきました。外国人の雇用で付加価値を生み出せること、今までになかったマーケットが生み出せること。外国人を雇用するときに、在住外国人の6割を占める仕事に制限のないビザを持つ人々に注目することや、留学生等のブリッジ人材をテコにすれば外国人受け入れの好循環を生み出せること等、なるほど!というお話が続きました。また外国人と働くときには外国人側だけではなく、日本人側の研修もとても大切です。
互いのちがいを知り、ちがいを受け入れ、ともに変化し成長していくのが多文化共生社会なのです。
田村さんのお話はどれも新たな視点のヒントを与えてくれるものでした。
その後の質疑応答の時間も、時間が足りなくなるくらいに質問がたくさん出ました。田村さんはたくさんの事例をお持ちなのでいろいろな質問にたいする答えがまたとても勉強になるのです。今回も、福祉施設について、医療ツーリズムについて、登録支援機関について、建設業界について等の質問が出ましたが、どれも本当に聞いてよかった!と思う内容でした。この質疑応答については来ていただいた方への参加特典ということで、詳細は割愛します。
まだまだお話を聞きたかった!という意見もたくさんいただいたので、第2弾も計画したいと思います。
どうぞお楽しみに!
災害時に多様な属性に配慮できる研修会でした。
2019年6月28日、福井市湊公民館で「災害が起きたら!~どんなことに困る?どうしたらいい?~」という演題での講義とグループワークを行ってきました。
お話の軸は、3つの「わからない」について、考えてみましょう!というものです。
1つめは、今まさに災害が起きた瞬間、何が起きているのか「わからない」ということ。
2つめは、その次に、どうしたらいいのか「わからない」ということ。
3つめは、最終的に、元の生活に戻る方法が「わからない」ということ。
1つめは、何が起きたのか、正しく判断できるかどうかということ。これは地震なのか水害なのか、はたまた人災(戦争やテロなど)なのかということですね。現実に起きていることを正しく認識するためには、事前の予備知識や備えが必要ですし、それによって、大きく判断が変わってきます。
2つめは、いわゆる避難行動ですね。初動の部分でどう行動していくのか。災害大国(というのも変な言い方ですが)の日本では、具体的な行動様式がかなり浸透していますが、世界的にみても、多くの人は地震を体験していないばかりか、その言葉すら知らないこともありますので、事後の対処行動に大きな乖離が出てきます。
3つめは、生活再建の部分です。日本には公的な支援制度がたくさんありますが、その存在すら知らないと、生活再建の道がひどく困難な道になってしまいます。公的支援を活用できる人とそうでない人は、その再建のプロセスに大きなちがいが出てきます。
こんな3つの「わからない」にポイントを置きながらお話を進め、後半には、参加者のみなさんに、具体的なワークに取り組んでいただきました。
今回は、各グループに外国人の方にもご参加いただき、それぞれの視点での「わからない」ということにも、お話いただきました。
そんなこともあり、グループワークでは活発な話し合いが行われ、大変、にぎやかでした。
地区単位で、当該地区住民が話し合う場があるということも、とても大切なことのひとつですね。
研修をコーディネートしている側ではありますが、大変、学びの多い場でもありました。こうした地域に根差したものが、もっともっといろいろあるといいなと思いました。
今回、この研修を企画された湊公民館さまは、日頃からいろいろな地域活動を展開なさっているようで、「外国人も含めた地域の防災ってどうなの?」ってところから今日の研修に至ったようです。湊地区は、福井市内でも最も外国人が多く住んでいる地域なんです。
参加者のみなさんからは、本当にいろいろなご意見もいただきました。
こういう地区単位での防災への取り組みなど、いろいろと企画立案、実行していくと実りあるものも多くあるように思いました。ステキです。
これからも、いろいろな取り組みを進めていかれるのではないかと思いますが、今回の講座もその一助になればいいなと思いました。
みなさんの地域でも、いろんな人がいることを再認識し、いろいろな活動を行っていくなかで、災害時対応はもとより、地域での結びつきが強くなっていけばいいなと思う次第です。
ぜひ。
こちらは日刊県民福井に掲載された記事です。
世界自閉症啓発デーLIUB in Japan2019@世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落開催のご報告
2019年4月2日に世界遺産五箇山菅沼合掌造り集落で世界自閉症啓発デーLight it up Blueを開催しました。
2012年から開催して今年で8年連続開催の運びとなりましたが、なんと今年は4月の雪!
山の早咲きの桜が咲く中に雪の舞う幻想的な雰囲気の中でのLIUBになりました。
今年の五箇山菅沼でのLIUBのテーマはアート
part1.見る 13:00~21:00 アール・ブリュット五箇山
障害者アートの世界に触れてみませんか?
会場の与八さんに作品が展示されました。
そして蒼い光に包まれた合掌造り集落。今年は雪の白に映えて本当にきれいです。
午後7時。合掌造り家屋の与八さんの中では、障害者アートについて耳を傾ける時間になりました。
part2.感じる
まずは社会福祉法人めひの野園 みしまの工房 漆・工芸班生活指導員 岡崎秀徳さんのお話です。
岡崎さんは高校の美術教師になりたくて、教育学部で美術を専攻しましたが、めひの野園の利用者の方の描いた「いわなと山ぶどう」を見て衝撃を受けました。そんな岡崎さん、めひの野園の就職面接の時に絵画教室で絵を教えられるかと聞かれ、「できません」と答えたそうです。
しかし、面接の場にいらした当時の園長(故・中田勉前理事長)が、「彼らに指導するなんてことは考えなくてもいいですよ。ただ、ありのままに描かせてあげればいいがや。」と言われたそうです。そして、絵の描き方に限ったことではなく、自閉症の方への支援そのものについても、こうおっしゃったそうです。
もし、変わる必要があるとしたら、それは「周りの環境」と、彼らに対する「周囲の理解」なのだと。
めひの野園では、園設立当初から「自閉症の方は視覚を通して学ぶ」ことに着目され、陶芸、手芸、農業など、その道のプロを講師として呼び、「本物を見て学ぶ」支援に取り組んでこられました。
そして岡崎さんもその思いを継承されています。
そして今、実際にめひの野園の絵画教室で創作されている方の様子をお話してくださいました。
自閉症の人たちに接していると、私たちが気付かないようなところに彼らが感動し、そのすばらしさを紙いっぱいに表現している場面に出会えます。そんな日々を岡崎さん自身大切に過ごしておられるのがとても印象的でした。
続いて登壇されたのは、富山県障害者芸術活動支援センターばーと◎とやま代表の米田昌功さん。
https://bearttoyam.jimdofree.com/
米田さんは美大在学中は日本画を専攻されていましたが、障害者の方の描く美術の独創的な世界に関心がありました。
そして特別支援学校の美術教師になりました。
当時、特別支援学校では運動に力を入れて、アートには全く力を入れていませんでした。
そんな中、米田さんは障害者美術の展覧会を開催するなどして、障害者アートに力を入れていったのです。
障害者アートでは、指導しない方がいい作品ができる!これは岡崎さんもそうでしたが、米田さんも強く感じていることでした。
米田さんが代表を務めるばーと◎とやまの「ばーと」はBe=ARTです。Beは存在や生。ARTは表現。
存在や生そのものがアートであり、障害のあるなしに関わらず誰もがアートにかかわる、そんな思いが込められています。
アールブリュットというのも、フランス語のART BRUTから来ています。
BRUTというのはワインの樽の栓を抜いて一滴目。つまり生まれたままの飾りがない状態を言います。
自分の心の声に従った飾りのない作品がアールブリュット。
技術や知識を意識せずに、ありのままに勝手に手が動くといった感じで描かれる作品は今までの美術史の体系に入っていません。今までのアートの領域にはないそんな作品の数々が、アートが本来もっている表現の多様性や人間の可能性を再認識させてくれると、今、大注目を集めているのです。
障害者の方々が、見られること飾られることを意識せずに、ただ無心に作っているものが、視点を変えることで強烈なアートになります。例えば、床に落ちている髪の毛を拾い集めて、それを星座の形にしている人がいます。私たちの持つ概念をぶっ壊して新しいものが生み出されている、今、障害者アートはアート改革の中心にあると言ってもいいのでしょう。
そしてその新たな発見を生み出すアートは、コミュニティ全体の価値観を変化させる力を持っています。まさに福祉の現場がドラスチックに動いている、そんな時代にあるのです。
そんな障害者アートに触れる映画があります。
5月18日~31日まで富山市中央通りのほとり座にて
ドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」が上映されます。
この映画は、知的障害や精神疾患をもつアーティストたちによる創作物の魅力を、ジャーナリストや美術関係者のインタビューを交えて紹介するドキュメンタリー映像作品です。滋賀県にある障碍者施設「やまなみ工房」に通所するアーティストたちのユニークな創作スタイルや日常、障害をもつアーティスト自らが語る精神状態と創作の関係性など、作品の映像を織り交ぜながら、彼らの切実な表現欲求の根源を探ります。
ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
予告編はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=rt3kUvuAW6o
米田さんの持って来られた作品も所狭しと並べられました
写真右の素敵な笑顔は8年連続コーディネーターをしてくださっている、めひの野園の東さん
そして最後は実際に体験する時間の始まりです。
臨床美術士の渡辺恭子さんが中心になって臨床美術の体験ワークショップが始まりました。
臨床美術は上手も下手も関係なく、誰もが楽しみながら作品を作ることができるアートのひとつで、独自のアートプログラムに沿って創作活動を行います。五感が刺激されることで脳が活性化し、それがココロの解放にもつながる、そんな臨床美術の世界を体験できる時間でした。
今回のテーマは「パステル色の空」
それぞれが思い思いの空を描きます。
描いているうちにどんどん夢中になっていく皆さん。
そうして、最後に皆さんで描いた絵を鑑賞します。
こうして、「見る 感じる 作る」を体験できた世界自閉症啓発デーになりました。
帰りに外に出ると、雪が更に降り積もっていました。凛とした空気に包まれて清々しい気持ちになりました。
今年も五箇山菅沼で皆さんに出会えたことに感謝します。
また来年、この地でお会いできますように。
主催:NGOダイバーシティとやま/富山県自閉症協会
共催:越中五箇山菅沼集落保存顕彰会/ 社会福祉法人めひの野園
後援:富山県/南砺市
協賛:NPO法人真おやじ塾/アルカスコーポレーション㈱/四国管財㈱/㈱Humming bird/㈲中野工業/㈲森本自動車/ライフガード北陸//日本海ガス絆ホールディングス株式会社/富山トヨタ自動車㈱/前田薬品工業㈱/ホテルパークイン砺波インター/つくしの家グループ
協力:ヤマシナ印刷(株)/ 花椿かがやき/ 夢響村塾とやま/とやまcocolo会/コミュニティハウスひとのま/富山大学水内研究室/ Yuhsuke Takata
「人口減少社会での外国人の受け入れとコミュニティ・デザイン」基調報告のご報告
3月9日(土)、京都府立大学主催の連続自治体特別企画セミナー「人口減少社会での外国人の受け入れとコミュニティ・デザイン」の基調報告として、現在、日本社会が直面している危機的状況について、お話させていただきました。
話の切り口は、昨年末の入管法の改正から多文化共生の現状ですが、現在の日本社会が直面している諸問題について、包括的に課題提起をさせていただきました。
この法改正に伴い、日本に居住する外国人がますます増加するとの過熱報道がありますが、本当にそうでしょうか。近視眼的に外国人に依拠することに問題はないのでしょうか。もしかしたら、制度の綻びはますます深刻化し、崩壊へのスピードが速まるだけではないのか。
そういったお話を大局的にさせていただきました。
こうした大局的な現状を踏まえて、おふたりの方からコミュニティの目線で話題提供があり、じわじわとボディブローが効いてきている地域の様子がよくわかってきます。
これを受けて、参加者のみなさんによる円卓会議を行いました。参加者のみなさんが関心を持っているテーマでそれぞれグループを作り、自由に意見交換が行われました。それぞれに当事者あり実践者ありで、深みのある意見が多く出され、最後のフロアセッションでは様々な意見が交錯し、円卓会議の醍醐味を堪能することができました。
京都府立大学京都地域未来創造センターの鈴木さん、貴重な場を提供くださりありがとうございました。
また、参加者のみなさんにも大変お世話になりました。
ダイバーシティとやまでは、今後も制度改正の推移や現状を見据えつつ、課題提起も積極的に発信していきたいと思っています。
鯖江市で「やさしい日本語」の研修会が開催されました。
2019年2月6日(水)に武生商工会館で、ふくい市民国際交流協会、鯖江市国際交流協会、越前市国際交流協会からなる外国人の防災対策事業実行委員会主催の「外国人の防災対策事業研修会」に参加してきました。
代表の宮田と事務局長の柴垣の二人が講師として出講するのは非常に珍しいケースなんですよ。研修の内容以前に、ちょっとプレミアム感のあるレアな研修会となりました。
さて、依頼内容は、災害時の外国人支援における「やさしい日本語」の理解促進を図るものですが、「伝わる日本語の本質を捉え、防災啓発や災害時に円滑な外国人支援活動を行える支援者(職員)を育成することを目的とする」とあります。なかなか重たい感じがいたしますね。
今回は、前半の講義の部分を柴垣が、後半のグループワークの部分を宮田が受け持つ形で実施いたしました。
柴垣からは、災害時にどうして外国人への支援が必要になってくるのか、その支援内容や情報提供のあり方などを全般的に網羅して解説し、それを踏まえて、やさしい日本語の有効性について、お話させていただきました。
宮田からは、まず、やさしい日本語の事例紹介や基本的なルールの紹介を行った後、個人ワークでいくつかの課題に取り組みました。いくつかの課題に取り組む中で、参加者の頭の中も「やさしい日本語」へとシフトしていっているようでした。日々、接している日本語学校の学生たちの声も織り交ぜながらお伝えさせていただきました。その後、実際にNPO法人多文化共生マネージャー全国協議会(実際に東日本大震災や熊本地震等において支援活動を行った実績のある団体)が作成した災害関連情報を、各グループでやさしい日本語へと翻訳していただき、原稿を作成してもらいました。
最後に全体共有ということで、各グループが作成した「やさしい日本語」の原稿を発表いただき、宮田、柴垣からいくつかコメントをさせていただきました。
今回の参加者は、各市町の行政職員(そのほとんどが防災担当部署の職員)が大半とのことで、被災時には情報発信の最前線に立たれる方たちでした。
最後のグループ発表を見ていると、ほぼ初めて取り組む「やさしい日本語」であるにも関わらず、とても素晴らしい模範的な「やさしい日本語」になっており、みなさんの能力の高さに感動を覚えるとともに、非常に頼もしく思えた次第でした。
いつ、どこで発生するかわからない災害ですが、福井県内では今回の研修によって被害の度合いが少しでも軽減されるのではないかなと思います。
主催者のみなさま、参加者のみなさま、ありがとうございました!
越前そばも美味しくて、お土産に買い求めたソースカツ丼、羽二重餅も絶品で、すっかり福井ファンになりました。また機会があれば、福井にお邪魔したいと思います!
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